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日本社会の現実から目を背けるな

「ミクロが変える経済」

財部誠一

人口減少社会に突入することの恐怖が噴出している。
 年金不安は社会保険庁の「ガバナビリティ」のなさではなく、人口が右肩上がりに増えていく時代に設計された制度が、もはや立ち行かなくなってしまった現実を、多くの国民は肌で感じ取ってしまったことにある。参議院選挙の民主党大躍進の背景は、29ある1人区で民主党が自民党を圧倒したことだった。

 1人区とは、農業以外にほとんど産業のない地域である。日本の農業はいま危機に瀕している。農水省によれば、農業従事者のうち65歳以上の人が占める割合は2005年度ですでに58・6%だという。全人口に占める割合が20・1%であることを考えると、日本の農業がすでに「超高齢化」時代に突入していることは明らかである。このまま何もしなければ、あと10年で農業の担い手が半分になってしまう。戦慄が走る現実だ。
 ところが日本社会では、人口減少社会の恐怖が実感を持って理解されない。なかでもことにひどいのが「景気」。所得格差や地域間格差によって景気回復実感がないという叫び声が日本中にあふれていることを、私は誰よりも強く認識している。しかしいかに不都合なものであっても、事実は事実として、まず受け入れなければならない。
 景気は劇的に回復しているという現実から、目を背けてはいけない。それが不幸の始まりなのだ。景気が回復していないから、格差が生じているわけでは断じてない。景気が回復していないから、所得が増えないわけでない。
 この5年、日本経済は年2%強の経済成長を続けてきた。10%以上の成長率を誇った「いざなぎ景気」と比較して、2%程度の経済成長など取るに足りない景気回復だという悪口を繰り返すテレビキャスターもいる。

続きはFJ11月号で


財部誠一オフィシャルホームページ


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