
権利行使価格を1円とする新株予約権といえば、
買収防衛の手段(差別的行使条件のついたもの)を
思い出す人が多いかもしれない。
しかし、それ以外にも、報酬の支払い方法であるストック・オプションの手段として用いられる場合もある。この権利行使価格を1円とするストック・オプション(いわゆる1円ストック・オプション)が、今、にわかに注目を集めている。
ストック・オプションは、役職員等に対し、その労働の対価として新株予約権を無償で配る制度である。その際、その権利行使価格を現在の株価よりも高く設定することによって、株価を引き上げることへの動機付けを与えるのが一般的である。つまり、いわゆる業績連動型報酬の一種として組成されるのが通常なわけである。
このタイプのストック・オプションの場合には、首尾よく権利行使価格を上回る形で株価を引き上げることができれば、権利を行使して取得した株式を市場で売却することにより、利ざやを報酬として受け取ることができる仕組みとなる。逆に、株価が権利行使価格を下回る事態にとどまるならば、ストック・オプションは全く意味のないものとなるわけである。その意味では、権利行使価格をいくらに設定するかは、ストック・オプションの性質を決める上で極めて重要な要素となる。
以上のことから分かるように、1円ストック・オプションは、ほぼ間違いなく権利行使が行われることが予想される性質のものである。言い換えれば、ストック・オプションという形をとりながら、報酬の支払可能性を極限まで高めたものと整理できる。
では、今、なぜこれが注目を集めているのだろうか。
その背景には、役員の退職慰労金制度を廃止する動きがある・・・
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