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魔術師ヒディンクが教える
プロの指揮官のあるべき姿

「勝者の実学」

二宮清純氏

またしてもヒディンクだ。なぜ彼が指揮を執ると、チームは劇的に変わるのか。
 決勝進出はならなかったもののサッカーの欧州選手権でヒディンクが指揮を執るロシアが優勝候補のオランダを延長戦の末に3対1で破り、20年ぶりにベスト4進出を果たした。

 この試合、ロシアはパブリュチェンコのゴールで先制したが、後半41分、ファン・ニステルローイのヘディングで追いつかれた。ダークホースの勢いもここまでかと思われたが、延長後半7分にトルビンスキーが左足で押し込んで勝ち越し。その4分後には、アルシャビンがとどめの3点目を決めた。
 ヒディンク采配が勝因だ。後半36分に投入したトルビンスキー、延長後半10分に投入したシチョフが豊富な運動量でオランダを圧倒した。
 勝利の立役者であるアルシャビンはこう言った。「1人のオランダ人監督が11人の才能あるオランダの選手たちを圧倒したのだ」
 4年前の悪夢を思い出した。ドイツW 杯予選リーグでの日本対オーストラリア戦。1点のビハインドを背負ったオーストラリアは後半、猛攻を仕掛けてきた。
 ヒディンクは後半に入ってケーヒル、ケネディ、そしてアロイジと立て続けに攻撃のカードを切ってきた。これが図にあたり、終わってみれば3対1の逆転勝利。敵ながらあっぱれ。鮮やかな手品を見ているようだった。
 ヒディンクの名声を決定的なものにしたのは2002年の日韓W 杯だ。韓国を率いたヒディンクはホスト国をアジア勢初のベスト4に導いたのだ。あの時の韓国の選手たちの驚異的な運動量には目を見張った。まるでガソリンでも飲んでプレーしているかのようだった。
 実はヒディンクが韓国代表監督に就任する前、メディアを中心に、「もう韓国代表は体力だけでは勝てない。もっと組織力や戦術に磨きをかけるべきではないか」との声が上がっていた。
 しかしヒディンクは「体力が韓国人の長所なら、それをさらに磨けばいい」と主張し、代表選手たちに過酷なトレーニングを課した。結果的にはこれが功を奏した。

続きはFJ9月号で


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