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サマンサタバサを輝かせる「誇り」と「美学」

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エビちゃん、マリア・シャラポワ、ビヨンセ、ヴィクトリア・ベッカム、ヒルトン姉妹。だれもが知る「セレブ」(有名人)がモデルやデザイナーを務める人気ブランド・サマンサタバサ。ショップ内にはカラフルなバッグやジュエリーが並び、女性の強い支持を受けている。
モデルの多くが海外セレブということもあってか、海外のラグジュアリーブランドのように映るが、れっきとしたドメスティック(国内)ブランドだ。率いるのは、経営者の家庭に生まれ、在学中から起業を志していた寺田和正社長だ。
ブランド志向と購買力の高い日本は、海外ブランドにとっても魅力的なマーケット。ヨーロッパのブランド人気が根強いそんな日本において、サマンサタバサは、それらと並び立つまでに急成長している。
寺田社長は学生時代、北川教授が提唱する「北京の蝶」と相通ずる体験をしている。
北川教授が寺田社長のブランド哲学、企業哲学に迫った。
構成=濱田 優 写真=北島 淳


「お父さん、僕は社長になれる?」
子供心に起業を決意

北川 寺田さんは子供のころから起業するつもりだったとうかがいましたが、本当ですか?

寺田 ええ。生まれは広島県福山市で、父が会社を経営していまして。すごく裕福な暮らしだったというわけでもないのですが、父には友人がたくさんいて、仕事をこなす姿も見て、とてもかっこいいなと、憧れていました。

北川 その会社を継ぐという選択肢はなかったのですか?

寺田 最初はそう望んでいました。ただ、今で100年くらい歴史のある会社で、父もそうだったのですが、継ぐのは長男と決まっていたんです。僕は二男で、成長するにつれ、だんだん「継ぐのは兄だな」とわかるようになりました。それで中学2年のとき、父にズバリ聞いたんですよ。「僕は社長になれないの?」って。

北川 それは単刀直入な質問ですね(笑)。どういう返事でした?

寺田 それが明確には答えてもらえなかったんです。僕の名前は和正で、長男は2歳上の兄で雅一(まさかず)といいます。名前が似ていることもあって兄に対して競争意識を持っていました。父は優しかったので、僕の気持ちに気づいてか、「和正かもしれないし、雅一かもしれないし、第三者かもしれない」と言うんです。そのとき子供心に、「お父さんは僕を慰めようとして言っているな。『継ぐのはおまえじゃない』と言えないんだな」って、わかっちゃったんです。

北川 なるほど。当時から具体的にどういう事業をやりたいという計画はあったのでしょうか。

寺田 いえ。まだ子供でしたから具体的には。ただ例えば父がゴルフをやっていたので、「ゴルフはやらなきゃな」と考えていましたし、高校時代には、トークがうまい友人に、「オレが会社つくったらおまえ営業やってくれよ」なんて言っていましたね・・・

海外で「ふつう」に戦える
ブランドの日本代表に

北川 御社はどういう存在でありたいと思っていますか。

寺田 「〝ふつうに〟世界で戦っているなあ」って思ってもらえるようになりたいですね。

北川 背伸びして、ではなく。

寺田 ええ。2006年にニューヨークにお店を出したのですが、出店したことで満足するのではなく、〝ふつうに〟ニューヨークでも支持されるようになりたい。外資系のブランドでは、例えばヨーロッパのブランドで、アメリカ人がデザインして、中国で作って日本で売るなんて珍しいことではないです。

北川 海外を含め、今後の全体の事業展開はどう考えていらっしゃるんですか?

寺田 僕のなかで大事なのは、売り上げとか店舗数とかよりも、日本人であることに誇りを持てるような、そのお手伝いを少しでもできればということ。よく言うんですが、例えばフランスの有名なブランドありますよね。フランスの人が日本に来て、京都を観光する。そのとき日本人がみんな、そのブランドのバッグを持っている。彼らは口に出しては言いませんが、絶対誇りに思っているはずなんですよ。「ああ、日本ではフランスのブランドのバッグをみんな持っている」って。

北川 サマンサタバサが日本にとって、また日本人にとっての、誇れるブランドになりたいと。社名に「ジャパンリミテッド」と付いているところにも、その意気込みが感じられます。

寺田 海外でサマンサのバッグや小物を持ってもらうことによって、日本の男性、女性が「サマンサタバサは日本のブランドなんだ」って誇りに感じられたら最高だなあなんて思うんです。

北川 海外志向はカナダ留学の経験が影響しているのでしょうか。

寺田 あのとき日本製のヘッドホンステレオを持っていったんです。当時、向こうのヘッドホンステレオって大きかったんです。僕のヘッドホンステレオは小さくて安くて、リモコンまで付いていて……そんなの持っている友人なんかほかにいないわけです。
 僕が大学に持っていって教室で触っていると、「すごいなそれ!」って驚かれて。僕はその会社から給料をもらっているわけじゃないんですが、その会社の代表、いやもう日本代表みたいな気分で。「もっとすごい会社もあるんだぜ、今度はCDのプレーヤーも出るんだぜ」って威張るわけです。そのときの強烈な印象がありますね。

北川 僕はそれを理論化しようと頑張っているんです。それはその会社から頼まれたわけでもない、クチコミですよね。1羽の蝶が舞う。それを見た隣の蝶が「あ、きれいだな」と思って自分も舞う。2羽が4羽、8羽となり、やがて大きなうねりとなる。「サマンサタバサってカッコいいよ」って思う人が広がっていって、定着する。

寺田 そうなりたいですが、日本人は日本のブランドに対して評価が非常に厳しいですからね・・・

続きはFJ4月号で


サマンサタバサジャパンリミテッド

設立:1994年 本社所在地:東京都港区 売上高:135億円(2006 年2月現在、連結)
事業概要:ハンドバッグ・ジュエリーの企画、製造、販売など。ブランド数は10、店舗数は135店(海外含む、06年12月現在)。
従業員数:約630人(06年12月現在、男女比 およそ1:9) 株式銘柄コード:7829 URL:http://www.samantha.co.jp/

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