
9月1日、福田首相は、唐突に退陣を表明した。百歩譲って、政権を投げ出すことについては仕方ないとしても、あの記者会見はいただけなかった。
もともと「貧乏くじ」と称して就任した首相のポストだから、未練はそれほどなかったのかもしれないが、そうであればなおさら、去り際をキレイにしてもらいたかったと思う。
特に小沢民主党代表に関するコメントが醜悪だったといえよう。手短に「小沢代表は、党利党略を離れて日本国のことを考えるべきだ」と断罪するだけでよかったのに、「ねじれ国会で大変苦労させられた。話し合いたいと思っても受け付けてもらえなかったことが何回もあったし、与党の出す法案には真っ向反対。それも重要法案に限って真っ向反対で、聞く耳を持たずということは何回もあった」と愚痴る。このせりふは本当に聞くに堪えなかった。
正直言って、去り際になって、こんなにも女々しいことを言う人物に日本のかじ取りを委ねていたのかと思うと背筋が寒くなる。
やせても枯れても、福田首相は、日本国のリーダーだ。外交戦略の指揮官でもあった。その指揮官が拉致問題に関して、北朝鮮のことを「ねじれた国交状態で大変苦労させられた。話し合いたいと思っても受け付けてもらえなかったことが何回もあったし、日本の出す提案には真っ向反対。それも重要な提案に限って真っ向反対で、聞く耳を持たずということは何回もあった」などと愚痴ったら、一般国民はどう感じるだろうか。北朝鮮がどう思うだろうか。そんな人物が外交で成果を上げられるわけがないではないか。
もし、あなたの会社の社長が、「取引先とのねじれた関係で大変苦労させられた。話し合いたいと思っても受け付けてもらえなかったことが何回もあったし、当社の出す商談には真っ向反対。それも重要な商談に限って真っ向反対で、聞く耳を持たずということは何回もあった」などと愚痴り始めたら、その会社は早晩つぶれると思って間違いない。
いかなる組織であっても、リーダーに愚痴る権利は与えられていない。リーダーに認められているのは、未来を切り開く自由だけである。愚痴る暇があるのなら、ねじれ状況を打開するための深謀遠慮を張り巡らし、目先の敵を倒しつつ、将来のための布石を打つのが、リーダーの責務だ。
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