
6月25日、人材サービス大手のグッドウィル・グループは、100%子会社で日雇い派遣を営むグッドウィルを、7月末を目途に廃業すると発表した。
グッドウィルは今年1月、違法派遣を繰り返したとして、厚生労働省から事業停止命令を受けたばかり。厚労省が派遣事業の許可を取り消す方針を固めたため、事業の継続が困難になったものだ。
この結果、グッドウィルは、従業員約4000人に対して7月末までの退職を求める。日本人材派遣協会を通じて、同業他社に受け入れを要請する模様だ。また、派遣スタッフ7000人については、派遣先企業に直接雇用を働きかけることになるという。全国で会社都合の失業者が64万人いる現状で、さらに1万人余の失職者が出ることは、経済全体にとってもネガティブインパクトが強い。
厚労省は、2000年のそごう倒産以来となる雇用対策本部を設置。全国の労働局に相談窓口を置き、ハローワークで職業を紹介するという。そして、舛添要一厚労相は「日雇い派遣を禁止する法改正を検討する」と宣言した。
愚かなことだ。その結果、起こるのは、日雇い派遣で生計を立てている人々の生活が圧迫されるということだけ。世間では「認可取り消しで職を失う派遣労働者たちの生活を保障しろ」という声が強くなってきたが、もはや手遅れだ。表面上はともかく、実態として、派遣労働者たちの労働環境が上向くことはしばらくあるまい。
代替策なしに、業者を傷めつければ、業者による恩恵と保護を大なり小なり受けていた弱者にしわ寄せがいく。小さな正義が大きな害悪をもたらすリスクに、為政者の配慮が行き届いていない。グッドウィルの派遣業務を禁止してここまでの大混乱をもたらすくらいなら、派遣労働者たちの給与水準を引き上げるよう、厚労省が公式に強く勧告すればよかった――それだけの話である。『論語』に「鶏を割くにいずくんぞ牛刀を用いん」とある。小事に大掛かりな策を用いることの愚を警告したものだ。最近の日本は、まさにこの愚を繰り返している。
1年前に厚労省が、同グループのコムスンを撤退の憂き目にあわせた結果、介護業界には誰も参入しなくなった。倒産も多い。そもそも儲けたら保険の点数が低くされて苦しくなるという致命傷を抱えた業界である。
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