悪人ヅラなだけで起訴されてしまう恐怖
ライブドア事件において、「首謀者」とされた堀江貴文氏。
2006年に行われた初公判で氏は、「悪意に満ちた捜査で起訴されたことを心外に思っている」と話し、
その捜査手法を痛烈に批判した。その後、長期勾留を強いられるも、その姿勢を崩す気配はない。
衝撃の逮捕から4年、特捜検察の問題点と司法改革の必要性を鋭く指摘する。
構成=吉岡憲史 写真=鰐部春雄

ファッショ的になりやすくて大衆を扇動しやすい
── 一連の陸山会の捜査を見ていると専門家から「形式犯」という指摘がある一方で、検察は大々的に捜査に着手し、逮捕者も出しました。
そもそも「形式犯」って何かというと、要は法律の条文解釈によっては書類に一文字でも間違いがあれば「虚偽の政治資金収支報告書や有価証券報告書を提出した」ということになっちゃうわけですよね。だけど、本当に単なるケアレスミスも当然あるわけで、それを全て処罰していたら大変なことになるわけです。なので、通常はそこの線引きってあるわけですが、非常に曖昧です。例えば茂木健一郎さん(脳科学者・東京国税局が2009年に3億数千万円の申告漏れを指摘)は脱税していたわけだけれども、それは「忙しくて申告する暇がなかったんです」と言って、追徴だけで済んだわけです。最近また同じような事例があって、クレディ・スイスの元部長が3億5000万円所得を申告していなかったと言われて、東京地検に告発されました。申告脱税という意味では茂木健一郎さんもクレディ・スイスの元部長も一緒ですよね。
金額の大きさでいえば、茂木さんも実刑になるくらいの額を(脱税)していたんですけれど、「忙しかったんです」という言い訳でオッケーが出たというと、僕なんかからすると、「あれ何が違うんだろな」と思うわけですよ。それはイメージのよろしくない外資系金融機関の社員だからダメで、茂木さんは人が良さそうだからセーフみたいな、たぶんそんな感じなんですよ。茂木さんが出会い系サイトの経営者だったら絶対、脱税になって告発されていますよ。つまり“世の中的な敵”がいる。もっと簡単に言うと悪人ヅラに見える人だけをやるんですよ。
── 検察官のさじ加減一つで「悪人」に仕立て上げられるということですね。
検察には、「悪人を懲らしめてやる」という変な気概がある。そこに恣意性がからんでくるから怖さがあります。ある意味ファッショ的になりやすくて大衆を扇動しやすい部分ではありますよね。殺人とか傷害みたいに、誰が見ても悪いものと分かればいいのです。しかし、政治資金規正法や金融商品取引法みたいなのは一般の国民にはあまり縁もなくて非常に分かりにくい。そんな法律だから、検察が悪いと言えば悪くなっちゃうんです。
── ライブドア事件でも検察は、なんとか堀江さんを「悪人」に仕立て上げたかった。
「堀江貴文を主犯格に仕立て上げたい」というのは一つあったと思います。あとは、何かしらの違法行為を探し出さないといけないというのがあったわけですよ。だから、「堀江は不正を隠しているに違いない」という根拠のない稚拙なシナリオ通りに、彼らは捜査をしていました。経済のことも、お金のことも何も分かっていないくせにシナリオを作っちゃう…
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