2万人が密室内部を目撃
コートを出すには気が早いが、立ち続けるには身も縮む。
晩秋の空の下、「事業仕分け」の会場、国立印刷局職員用体育館(東京・市ヶ谷)の前には
長蛇の列ができていた。最寄りの駅でも徒歩10分。山手線内にしては
アクセスの悪いこの場所に訪れた国民は、9日間でのべ2万人。
平日開催であることを考えれば、国民の関心がいかに高かったかをうかがわせる。
構成=香川 誠 写真=鰐部春雄

9月の閣議決定により設置された行政刷新会議。仙谷由人行政刷新相は第1回目の同会議(10月22日)でこう述べている。
「収入が減ったので、支出を削減することは、企業や家計では当たり前のことであり、税収が減っている中で歳出削減をすることについては、国民の理解が得られるのではないか。また、歳出削減は景気を下振れさせる可能性はあるが、無駄なものを削ることが将来的にはプラスになるということをきちんと国民に説明していくことが大切である」(議事要旨より)
周知の通り、日本の財政は危機に瀕している。税金の無駄づかいをなくすことが国民の総意であるのも疑いようがない。しかしそもそも衆院選のマニフェストで子ども手当や高速道路無料化など、多額の「バラマキ」が必要とされる政策で人気を博したのが民主党。それらの政策で必要とされる財源を自力で生むには、それと同じだけの無駄を見つけてこなければ、また借金を繰り返すことになる。無論、子ども手当の財源確保のために扶養控除が廃止されるような“組み換え”に終われば、国民の落胆は大きいだろう。それだけに、無駄探しをする「事業仕分け」への国民の期待は高かったのだ。
テレビ的な仕掛けの妙
仕分け会場に用意された傍聴席はおよそ300。実際にはそれに収まりきらず、立ち見の傍聴人も多かった。注目の事業であれば、議論の風景を遠くから眺めることしかできない。分厚い資料に目を通す人、メモを取る人、カメラを構える人、議場に鋭い視線を向ける人。報道関係者でもない一般の人が、記者らに交じって同じようなことをしている。
確かに画期的ではある。秩序さえ守れば誰でも傍聴に参加でき、これまで官僚たちが密室で行ってきたことを目にすることができる。しかし訪れた人は、妙な違和感を覚えたようだ。
「一つ一つの事業が国を支える大事な事業。それなのに議論も煮詰まらないままぽんぽんと決まって、本当に大丈夫なのかと不安を覚えた。仕分け人によるあげあし取りのような追及がたまにあったが、時間の無駄だった。言葉尻を捕まえてとやかくいうのはいかにもテレビ的。資料を事前に見てきたなら、もっと聞くべきことがあるはずだろう」(30代男性)
テレビ的といえば…
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