評価できる自民党中小政策
民主党政権でさらに“骨太”
「あなたの町の小さな会社や工場を支え、安心して働けるようにします」――。
経済政策の中心に中小企業振興を据えた民主党は圧倒的大差で総選挙を制した。
この新政権は果たして本当に中小企業の味方と言えるのか、今までと何が違うのか。
政治と中小企業の関係をひも解く。
構成=吉岡憲史

中小は日本経済そのもの 兵器工場の流れくむ
わが国において大企業と中小企業は他国に例のない特異な関係である。とりわけ日本経済の中核を担う自動車産業はそのことを象徴している。1台につき2万点以上の部品がある自動車生産において、エンジンなどの最重要部品を除くほとんどの部品は中小企業が作っているというのが現実だ。
アメリカではGMなどの完成車メーカー以外の外注企業が作る部分はせいぜい3割程度と言われていて、フォードに至っては自社で製鉄所さえ所有している。ドイツにおいても、ガラスやタイヤなどは中小の専門メーカーに委託しているものの、それ以外の大部分の部品は親会社が作るのが通例なのだ。また、日本では部品メーカー以外に多数の下請け加工メーカーがあり、2次、3次、4次、5次というように重層的ピラミッド構造が形成されている。わが国の特異な中小企業構造について、法政大学社会学部の相田利雄教授は「日本は自動車産業への本格参入が戦後であり、他国と比べて遅かったから、大量生産の外国メーカーに追いつくためにトヨタや日産でも部品生産を下請けに依存せざるを得なかった」と話す。
また、第二次大戦中の軍需産業においては軍部の号令の下、大企業が中小企業を統制する形で兵器を製造させていたという歴史があったのも事実で、その垂直構造をそのまま踏襲したという背景もあるようだ。言ってみれば“国策”によって整備された構造と高められた技術が戦後復興、そして高度成長期の自動車産業を中心とする製造業を支えてきた。
今日においては圧倒的な優劣の差がある親会社・下請け企業という力関係が、ある意味では下請け企業におけるコスト削減、高品質な部品の生産という努力の源になっている。自動車産業以外にも多数存在する全国420万社(全体の99%)、総従業員数2784万人(同70%)というわが国の中小企業。まさにそれらの中小企業の活力は、日本経済そのものの“元気の源”なのである。
中小企業同様、わが国の中小企業政策の歴史も長い。例えば、中小企業庁が設置されたのは1948年だし、今日の中小企業法制の基礎とも言うべき中小企業基本法は63年にすでに制定されていた。中小企業基本法はこれまで計4回の大改正が行われたほか、経済事情などにあわせてその都度マイナーチェンジされてきた。このように自民党政権は中小企業政策に対して柔軟であった。
下請けいじめ許さん 法の番人が監視
具体的な法律を挙げるならば56年に制定された下請代金支払遅延等防止法だ。それ以前は下請け企業が不公正な取引を強いられても行政当局にそのことを訴えることが劣勢な立場によりできなかった。この法律は親会社の下請け企業への不公正な取引を是正するのが狙いで、具体的には契約内容があいまいな口約束による取引、不当な返品、親会社による商品購入の強要など多くの行為を厳しく規制している。確かに、立場の弱い下請け企業は法律があるとしても親会社からの報復を恐れて違法行為を中小企業庁や公正取引委員会に訴えづらいという問題は今でもあり、この法律の実行力を疑うという指摘もある。相田教授が「親会社もモラルをもって下請けいじめを防止するために、自ら下請け企業などの納入企業との取引を規制する部署を置いている」と話すように、親会社の自浄努力のもとでこの法律は効果を発揮する。さらには、中小企業庁や公正取引委員会に下請代金検査官なる“法の番人”を配置して違法行為の取り締まりを徹底している・・・
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