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外貨建て投資は止まらない
松本 大(マネックス証券社長)

BRICsの中でロシアが放つ魅力

FX(外国為替証拠金取引)は広く市民権を得た。
外貨建て投資は今後、日本にとっていかなる意味を帯びていくのだろうか。
個人投資家と向き合う事業で知られるマネックス証券の松本大社長に、
外貨建て投資、そして新興国の中の“ロシアという選択肢”について話を聞いた。

構成=山本雅幸/玉居子精宏 写真=鰐部春雄

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人口減=GDP減は必然の流れ

―― 日本の現状と外貨建て投資の関係をどう見ますか。

 今後もずっと外貨建て投資は増え続ける、これが答えです。
 日本が人口減少期に入っているという事実を考えると、世界的に日本のGDPの割合は下がるはずです。
 下がってしまうその理由を考えてみましょう。人口が減れば下がる、これはまず当たり前の理由として、歴史的に見ても理解できることです。
 世界のGDPの推移を見ていくと、人口の規模とGDPの規模は常にほぼ一致していました。しかし、産業革命や資本主義・共産主義といったイデオロギーの誕生により、一部地域に偏ってGDP規模が成長しました。
 共産主義圏は事実上崩壊し、新たな市場が開けました。また、IT革命が起こって、世界のどこでも同じことができるようになりました。そうすると、以前のようにGDPは人口比に近づいていくのです。日本の人口を考えると、世界の中でのGDP比率が下がっていくのは明白です。
 こういう時代なわけですから、個人は資産運用の面で外貨建て投資をしないと、世界市民としてはどんどんと貧しくなっていくわけです。

―― 国・政府がそういった時代の流れに合わせた施策を打ち出せていると思いますか。

 ごく個人的な印象ですが、「まったく打てていない」のでは、と感じています。
 もちろん考えてはいるのでしょうが、実行に至っていない。首相に限らず、今の日本では、リーダーシップを取れない状況がまずありますね。
 ねじれ国会の影響から、政治は大衆迎合的な議論に終始してしまっている。きわめて短期的な目的の政策や行動ばかりです。
 経済産業省が、英投資ファンド「ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)」による株式買い増しの審査延長を打ち出した、〝Jパワー問題〟は、その一例でしょう。
 外資をうまく国内に入れられない状況になっています。外国人投資家は日本の動きを注意深く見ています。だから、こういったことをきっかけに日本株は売られる一方になるわけです。

―― 国には何も期待できないとすれば……。

 個人が今、自ら動いている面がありますね。新興国を対象にした投資にしても、成長を見込んだ個人の営みです。
 近年、日本の個人投資家は賢明さを増しています。
「分散投資」の考えがしっかり認知され、投資理論に対する理解は格段に進みました。まだまだ個人頼みの状況ですが、政治の方面で明るい話もあります。
 例えば甘利経済産業相が年初にアラブ首長国連邦(UAE)を訪問して、オイルマネーを相手に話をしてきたとか ――
 これをスタンドプレーと非難する論調もあったようですが、いいじゃないですか、スタンドプレーができない政治家なんて本来はダメですよ。
 国会議員の間で、日本の政府系ファンド(SWF)設立の話が出始めたのもプラスに評価していいでしょう。
 少し前まで「格差社会」を糾弾する論調にメディアは染まっていましたが、今はその反動が少しずつ出てきて、「縮小しながらも成長する」という、成長議論がなされるようになっています。
 その一方で、経産省の北畑事務次官の発言には驚きました。個人攻撃をするつもりは毛頭ありませんが、資本市場の中に日本がある事実に対し、「自覚がない」と言わざるを得ません。
 発言が出てきた文脈がどうであれ、緊張感を欠いていますよね。


けれど、政治はさほど経済に関係しない

―― やはり政治の問題は大きいようにも感じられます。

 いや、政治は経済にあまり関係していないですよ。経済大国アメリカなんか、あのブッシュが大統領ですよ(笑)。日本も同じです。むしろメディアの影響のほうが大きいと思います。
「ニューヨーク・タイムズ」「ウォール・ストリート・ジャーナル」「フィナンシャル・タイムズ」など、欧米のメディアが載せている意見、洞察と、日本のメディアが追いかけている「中国製冷凍ギョーザ」問題を比べてみればどうでしょうか。
「ギョーザ」問題にしても、あれを品質管理の問題まで広げていいのかということがある。悪意を持ったある人物が行ったとされるのであれば、もっと違った対応をすべきでしょう。
 政治面で見れば、もっと政策の是非を問うべきです。見る限り、表層に出てきた問題点しか論じられていません。
 経済面でも、先ほどの「Jパワー問題」にしてもそう。なぜ外資が日本に入ってこないのか、突き詰めて考えるべきところがたくさんあります。
 マクロ的に国民生活、国の将来について議論がなされていない。メディアはいつでもミクロの話ばかりですね。

―― Jパワーはエネルギー安全保障の観点から、との話がついて回ります。

「たかがエネルギー」とも言えないでしょうか。卸売り電力での国内シェアが10%に満たない企業に対し、エネルギー安全保障を盾に外資規制へとなってしまっては……。
空港運営会社への規制の話題もありましたが、こちらはまた別問題ですよ。あれは空港そのものというよりは、ビルが問題になっているだけですから。
 ただこれら2つの話題を見るだけで、旧来の業界秩序を守ろうとする全体的な流れは感じられます。
小泉政権時代にかなり規制は取り除かれたとの感はあっても、実際はまだまだ根強く残っている。ちょうど雑草を芝刈り機で一斉に刈ったようなもので(笑)。
 根っこまで引き抜いてその上に建物をつくるまでには至らなかったことが、今の状況を作り出している原因でしょう・・・


続きはFJ5月号で



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