
2008年1~3月期
が最悪期
――08年の米国経済の見通しは?
米国については言うまでもなく、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題がどこで終息するのかが焦点。金融セクターにおける信用収縮懸念にとどまらず、消費を含めた実体経済にどの程度影響を与えるのかを見極めるためには、もう一つの山を越える必要がある。ただし結論から言えば、われわれは2008年の1~3月期がピークだとみている。
住宅価格や地価の下落によって“逆資産効果”が生じ、これが消費者のセンチメントを低下させるなど、サブプライム問題の影響は、さまざまな経路を通じて実体経済に波及する。これらを含めた直接、間接的な影響は、同1~3月期の米GDP(国内総生産)を1.5%程度押し下げるだろう。この結果、
成長率は1%前後まで低下するが、ここが米国経済の最悪期だ。
ただし、その後も2~3四半期は低成長が続く結果、08年を通じた成長率は1.8%にとどまると予測している。景気後退には陥らないが、影響は残り火のようにくすぶり続け、潜在成長率の水準を回復するには時間を要するだろう。
――欧州経済の見通しは?
米経済減速の影響は避けられないだろう。また、ユーロの累積的な上昇がジワリと効いており、企業の景況感は悪化傾向にある。07年の2.6%成長は08年に2.0%まで減速すると予想している。
“デカップリング”から
“リカップリング”へ
――アジア経済は?
高成長が続くアジアも減速が避けられない。ただし、中国は07年の11・6%成長から、08年に10・3%までの減速にとどまると予想しており、依然として2ケタ成長は維持するだろう。
もっとも、中国の金融政策や人民元の切り上げ問題などの波乱要因については、正直なところ、読み切れない部分もある。
07年は「デカップリング(乖離)」の議論が盛んだった。つまり、米国経済が減速しても、アジアを中心とした新興国の需要が非常に強いために、世界経済のけん引役として米国経済の停滞を相殺するという考え方だ。
ただし、08年は一部、米国経済の下振れの影響を受け「リカップリング(収斂)」の傾向が強まるだろう。
――08年の日本経済は?
日本は07年が1.8%、08年が1.2%成長と予想している。日本経済の誤算は、企業部門が好調にもかかわらず、家計部門の所得拡大に波及する力があまりにも弱いことだ。個人消費がけん引し、内需主導型で自律的に成長する姿は、08年も依然として描きにくい。
賃金は上がらないなかで、生活必需品の価格上昇が広がると、消費者のセンチメントは実質購買力の低下でさらに悪化する。日本経済は「リカップリング」の影響に加えて、内需の弱さが足を引っ張るだろう。成長率の低迷以上に、人々が実感する景況感はさえない状況が続く。
1~3月期は
ドル安・株安の転機に
――サブプライム問題は、今は評価損が計上されているだけで、実現損を予測できないことが不安心理を増幅しているのでは?
金融機関は流動性が著しく低下するなかで、一般的には極めて保守的な「価格」でポジションを評価、損失を計上している。一方その結果として資本が毀損する部分については、一部流動性が注入されている。公表されている評価損は、ほぼ実質的な実現損に近いとみて差し支えないだろう。流動性が回復した段階で、実際に市場で成立する価格は、評価に用いられている保守的な価格よりもかなり高い可能性さえある。07年7~12月の動きの中で、かなりの損失は出尽くしたと考えている。
――08年1~3月期がピークとする根拠は?
サブプライム問題は、一気に状況が好転する性質の話ではない。したがって08年中を通して、残り火がくすぶるように散発的に問題が表面化するだろう。ただその影響度は、ある一点をピークにして、徐々に低下していく。市場はすでにかなり最悪の状況を織り込んでおり、実体経済への影響さえ見極めれば、徐々にそのインパクトは低下していくとみている。
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