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ベクシル-2077日本鎖国-曽利文彦監督インタビュー

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日本人が“鎖国”しないために

日本が国際連合を脱退した。
 統一安全基準のないまま事実上解禁となったバイオ技術が人類に延命効果をもたらし、ロボット産業も急速に発展していた。日本は両分野の技術・生産面で海外諸国を大きくリードしていた。
 これらの技術の危険性が指摘されるようになると、国際連合は厳格な国際協定を設けた。
 それを不服とした日本は国連を脱退。そして2067年、ついに「鎖国」する――。

東京・赤坂にあるビルの一室。
 数十台のコンピュータのうなる音が響く大部屋は、
画面のちらつきを防ぐためか、照明がしぼられている。
薄暗い部屋には一面に机が置かれ、
そこにズラリと並んだワイドスクリーンのモニタの前で、
ラフな格好のCGアーティストたちが黙々と作業している。

 OXYBOT( オキシボット)。
「2067年に日本が鎖国する」という設定の
CGアニメーション映画『ベクシル―2077日本鎖国―』
(8月18日より公開)の制作スタジオだ。
 社内の一室でインタビューに応じた曽利文彦監督。
もともと一流のCGアーティストで、『タイタニック』(ジェームズ・キャメロン監督)
への参加経験も持つ。木村拓哉主演の『ビューティフルライフ』など数々の
人気ドラマでVFX(特撮映像)も担当。2002年には映画『ピンポン』
で初めて長編のメガホンを取り、大ヒットさせた。

 今、『ベクシル』という作品を世に出すことの意味を聞いた。

「人と人が顔を見て話すことが乏しくなっていますよね。
人間関係が情報のやり取りでつながっている。
たとえば携帯電話がなくなって情報のやり取りが遮断されると、
相手のことが急に見えなくなる。これはつまり、個人における鎖国と同じ状態です」

 たしかに現代人のコミュニケーションは、昔と比べて希薄だと言れる。
それが事実かどうか、良いことかどうかはわからない。
だが、誰かに何かを伝えようとしたとき、
相手の顔を見ずに携帯を開こうとするのが一般的なのだとしたら、
それが健全ではないだろうことは想像がつく。
現状に強い危機感を感じている曽利監督。
「直接話すほうが好き」と携帯電話のメールはほとんど使わない。

 前作の『ピンポン』はその名のとおり、卓球に打ち込む高校生たちの話だった。
原作や出演者の人気と、迫力のあるCGが高評価の理由とされるが、
曽利監督は、
「ただ試合の行方を追うのではなく、試合の行方や球筋に、
登場人物の気持ち、感情を感じ取ってもらえたから受け入れられたのでは」
と分析する。
 新作は近未来が舞台の“アクション活劇”だが、
監督が「アクションの一つひとつからも人間らしい、
感情の流れが伝わるように作ったつもり」と話すように、
テーマの核は同じ。「人間」だ。

日本の映像作品が
海外で評価されるために

「ジャパン」と「アニメーション」で「ジャパニメーション」――。
海外で評価される日本のアニメがこう呼ばれたことがある。
そこにネガティブな意味合いも込める向きもあり、
最近では「ANIME」と呼ばれることが多い。呼び方は何にせよ、
日本のアニメが海外から注目を集めている「Madein JAPAN」の
主力商品であることは間違いない。
 一方で、日本の「映画」はマーケットが国内に限られることが多い。
たとえ海外で評価されたとしても、「アートフィルム」としての位置づけ。
純粋にエンターテインメントの視点や興行的な面から、
海外の作品と同等に評価を受けることは少ない。

「ハリウッド映画が必ずしもいいとは言いませんが、マーケットを
拡大するためには、海外を視野に入れた『世界コンテンツを作る』という気概が必要」

 こう語る曽利監督の意気込みは、「実写が好き」と言いながらも、
今回はアニメという手法を選んだ点からも読み取れる。

「今の日本の制作環境で、ハリウッドのSFやアクションに
伍する実写作品を撮るのは難しい。日本人に英語で吹き替えをあてる違和感もある。
だがその点はアニメにすると、記号化されて解消される」

 視線の先は、国境など最初から飛び越えている・・・


続きはFJ10月号で



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