フィナンシャル ジャパン オンライン版|うめけん対談 ゼンリンデータコム 清水辰彦社長

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うめけん対談 ゼンリンデータコム 清水辰彦社長2012年01月号

うめけん対談 ゼンリンデータコム 清水辰彦社長

うめけん対談@FJ
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Vol.07 ゼンリンデータコム

人生という地図を描くために

「地図」というコンテンツを武器に、インターネット上に
さまざまなサービスを提供しているゼンリンデータコムの
清水社長。九州男児同士のうめけんに伝えたい、
人生という地図を描いていくための心構えとは。




出会いが生み出すシナジー
トップに必要な考え方

梅崎 最初にお会いしたのはパーティーの会場でしたよね。

清水 そうだよね。カメラを持った取材陣が追いかけていたから、最初芸能人なのかと思って見ていたんですよ。それで挨拶をして。その時は腰も低かったし(笑)。丁寧な人だというのが第一印象。

梅崎 その時・も・ですから(笑)。僕もゼンリンっていう会社イメージから、清水社長はすごくお堅い方かと思っていたんですけれど、どちらかというと明るく気さくで面白い方だったので、最初から話もすごく盛り上がったんですよね。僕らが出会った場所もそうですが、若い人たちや何かをしようとしている人たちに何かしてあげたいという気持ちは強いんですか?

清水 若い人たちに関わりたいなっていう気持ちは非常に強いです。ITビジネスの会社なので、若い人のニーズや声を大事にしなければいけませんし。私は47歳になり組織内でも年齢的に上になってきたので、決まった考え方しかできなくなっているかもしれない。そうならないように、なるべく思考を柔らかい方向に持っていくための自己啓発の意味もありますね。それに若い人たちとの関わりの場所で、「何かやりたい」という思いを持つ人と出会えて、うちの会社の方向性ともマッチすれば、新しいことを一緒にできるというシナジーが生まれる。若い人たちと関わることはすごく大事。若いから、年齢が離れているから話が合わないとか言っていたら、新しい発想などは生まれてこないですよね。

梅崎 清水社長はあまり社長っぽくないという印象が僕にはあるんですよね。いい意味で、ですよ(笑)。なぜご自身が今、トップに立たれていると思いますか?

清水 本当に社長っぽくないんですよ(笑)。自分でもそう思います。ただ、自分がやりたいことを実現するためにどうしたらいいのか、ということを考えながら歩んでは来ています。元々ゼンリンに新卒で入社した時に、自分が持っていた考えと当時の上司の考えとがまったく違っていたんですね。そこで自分の考えを通すためにはどうすればいいのかと考えたら、それは経営に関与していくしかないという結論に至ったわけです。当時は自分の考えが絶対に正しいと思っていましたし。では経営に関与するためにはどうしたらいいのか。そのためにステップがあったんですが、その一つが海外勤務でした。右も左もわからない海外で、自分の力で営業所を立ち上げることによって、経営とはどういうものかとか世界はどういう傾向にあるのかということを実地で経験したことが、いま生きている。経営したいという資質もあったんだろうとは思うけれど、これまでの経験を踏まえて総合的に判断してアウトプットを出すというクセはついているんだろうなと思います。社長なんて全然偉くなくて、物事の最終判断をする人というただそれだけなので、そのベースとなる判断基準はたくさん持っていたほうがいい。

人生の太いラインと細いライン
細いラインは意志で覆せ

梅崎 ゼンリンに入社する時にはどんなモチベーションがあったんですか? やっぱり地図が好きだったんですか?

清水 特にモチベーションなんて無かったですよ(笑)。九州生まれで上京していたんだけど、九州に帰りたかったから。

梅崎 僕も清水社長と同じ九州男児ですけど、九州に帰りたかったというのはやはり九州が好きだから?

清水 九州って悪いところ無いでしょう。食事は美味しいし女性は優しいし。若干男の人を立ててくれるところもあるでしょう。自分の人格形成においても九州で育ったことは大きく影響していると思いますよ。僕は絶対に女性に甘えられないです。母親から「男は外に出て稼いで来い。家のことは全部こっちがやるから、外敵に対しては全て男がやりなさい」というような教育を受けて育った。それがクセになっていて。でもそこは役割分担で、男が強いふりをしているけれど実際は女性が手のひらの上で転がしている感じですよ。そうした面も含め九州はいいところですよ。

梅崎 異議なし(笑)。

清水 それで九州にはどんな企業があるか色々調べてみたら、ゼンリンという会社があって成長性も魅力もあるしそこ入ってみようかと。そんな感じですよ。でも会社が大きくなるための様々な施策を打っていたので、そのあたりが自分のキャリアアップのモチベーションに寄与していたんでしょうね。月並みになってしまうけど、目の前にあることには何にでも強い気持ちでぶつかっていきますよね。

梅崎 会社や組織に入って立場を与えられると、何かしたいと思っていても実現できないという若い人たちが知り合いにいっぱいいます。どうやったら組織の中で、自分のやりたいことを実現できるでしょうか。

清水 会社全体の方針や方向性で変わってはきますが、第一の条件は与えられた部署で常に一番でいなければいけないということ。そしてどんな部署でも自分が一番になれると確信した時点でも、組織の都合で自分がやろうとしていることが実現できないようであれば転職すべきだと思う。でも、自分が何かを実現するんだという意志と覚悟を上司に伝えることも非常に大切。そういう経験はキャリアになるし、組織との方向性が合えばその思いは必ず通じるはずです。

梅崎 経営者として、新入社員や若手社員の方々にどういったことを話すんですか?

清水 人生という道の中で、太いラインは変えられないけれど細いラインの多くは自分の気持ち次第で変えられるものだと思っています。強い意志を示していかないと流れにのまれてしまって、つまらない人生になるような気がするんですよね。その考えが正解かどうかは分からないけれど、自分のジャッジで人生を動かしていくことが大切という話はしていますね。もちろん時代や個々人のキャラクターがあるので、すべての人に共通することではないかもしれないけれど、人生の太いライン以外のところで思いを伝えていくことはすごく重要です。それは、その人ごとの地図を描くということかもしれませんね。1枚の白地図があって、その上にいろいろな材料やコンテンツを置いていくことで、自分という地図が形成されていくでしょう。


紙だけの時代からの変化
地図が持つ無限の可能性

梅崎 ITサービスは今、ネットで完結していることが多い。もっとオンラインとオフラインを結びつけるサービスがこれから必要だと思います。ITを使って情報に触れることで人はアクションを起こして外に出て、よりリアルの生活を豊かにできる。そうしたアクションの一環として街づくりなどに、地図というコンテンツが重要になってくるんじゃないでしょうか。

清水 グーグルのおかげで、地図というコンテンツの必要性や認知度、それに使い方のバラエティーが一般にすごく広まり、業界全体としては盛り上がりました。でも彼らのサービスは無料です。当社も含めた地図関連会社は、グーグルのサービスより常に先行してビジネスを開発していかないと、「グーグルの無料サービスで十分だ」と思う方が増えてしまいます。例えば、ユーザーの嗜好に合わせた情報を地図とともに提供するようなプッシュ型サービスなど、ユーザーとのコミュニケーションは重要になってくるでしょう。

梅崎 地図というコンテンツが紙だけだった時代に比べて、今はその可能性がどんどん引き出されている状況なのかなと思います。地図が持つ潜在能力は、今後もまだまだ顕在化してくるでしょうか?

清水 地図の需要を高めるためにはどうすればいいのかということは、やはりよく考えています。まだ着手はできてないんですが、「夜の地図」「昼の地図」「朝の地図」というようなものをつくろうと動いてはいます。街では時間帯によって主要目標物が変わってくるんですよね。それに合わせた地図が完成したら使い勝手はかなりいいはず。ほかにも「男性が見たい地図」と「女性が見たい地図」、「地下街を網羅した地図」、「建物のフロアまでわかる地図」などなど。地図はコンテンツの塊だから色々なことができる可能性があります。どういう人がターゲットでどういう情報を抽出すれば、場所と目的に合わせて地図が見やすくなるのかということを、当社がきちんと構成できれば、地図を見る楽しみはさらに増すでしょう。

梅崎 位置情報の上にいろんなコンテンツが載っていて、さらにそれを見る人によって用途は様々なので、地図には無限の可能性があるんですね。僕みたいにすごく興味の範囲も広くて、あれもこれもと手を出したい人は地図の話をしだすと尽きないですよね。





SHIMIZU Tatsuhiko
1964年福岡県生まれ。86年ゼンリンに入社。サンフランシスコ駐在員事務所長やZENRIN USAの副社長を経て、07年よりゼンリンデータコム社長に就任。ゼンリン非常勤取締役を兼務。

ゼンリンデータコムとは?
2000年設立。住宅地図メーカー大手ゼンリンの連結子会社。地図コンテンツを活用したネットやモバイル端末向けのナビゲーションサービスの開発、販売を行うほか、主要なポータルサイトにデータやサービスの提供も行っている。本社東京都港区。

UMEZAKI Kenri (Umeken)
1993年生まれの髙校3年生。ツイッター上でソフトバンク孫正義社長から3番目のフォロワーに選ばれたことで注目を集める。2010年流行語大賞を「~なう」で受賞。ソーシャルメディアプロモーションを展開するディグナ社長。@umeken