原子力損害賠償支援機構法案が、国民の関心が高まらない中で拙速に成立してしまいました。この法案は、『国民の負担で、東電と利害関係者を救済し、被災者に対する賠償金を捻出しよう』という法案です。本来、責任を問われるべき人が責任を問われないのです。どれだけの人がこの法案の本当の背景を知り得たのでしょうか。
「これから原発とどう向き合うか」。この問いは、日本の今後を左右する重大な問題です。国民と政治家が一緒になって考えていくべきことです。しかし法案成立の過程において、民主党と自民党という電力利権を持った族議員を多く擁する政党からは、大事な情報を隠したまま法案を成立させてしまおうという姿勢が透けて見えました。結果的に国民へのきちんとした、かつ分かりやすい説明はありませんでした。
日本人は「間接」というものが好きです。間接民主主義や間接金融が好まれます。「間接」の方がリスク分散され、自分一人の責任が少なくなるという印象なのでしょう。しかし、そのような人任せの意識は、政治を腐敗させます。原発に関していえば、私は一度国民投票をするべきではないかと考えています。多くの人たちを苦しめてしまった原子力発電という存在をどう思っているのか。単純にYES/NOを問うだけではなく、投票をきっかけに今以上の情報を提供して国民一人ひとりにしっかり考えていただきたいのです。
みんなの党は脱原発を提唱していますが、その真意は電力自由化です。電力自由化により、高コストの原発は淘汰されると考えています。プルトニウムの半減期は2万4000年、放射性物質の最終処理には数十万年という時間がかかるだろうと言われています。そのようなコストや、我々の子孫にどんな影響を及ぼすかも考えず安易に原発を維持するのはおかしい。普通の民間企業であれば、そんなものに手を出す馬鹿な社長はいません。市場経済・資本主義を考えると自由化は絶対避けては通れない道で、その道を進めば脱原発につながるというのが私たちの主張です。
もちろん色々な主張があります。賛成派・反対派それぞれの意見をぶつけ合う討論会を国民に見える形で何回も行って、最終的には国民投票を行うべきだと思います。ただ、こうした話をすると「大切な判断に国民を参加させるのは、やめるべき。大衆は分かっていない」と言う人も出てきます。ポピュリズムだと批判する人たちは、国民は無知だからと言いたいのかもしれませんが、私は自分たち国民のことを「信じよう」と言いたい。日本人は優秀ですから、情報をきちんと提示すればしっかり理解し、自分たちで考えられるのです。一人ひとりが大切な問題を考えていけば、自ずと正しい答えが導き出せると信じています。
プロフィール
MATSUDA Kouta
1968年宮城県生まれ。タリーズコーヒージャパン創業者。参議院議員(みんなの党)。
@matsudakouta