
消費税率を上げるか、法人税率を下げるか。
財政再建、デフレ脱却へ、そんな選択肢が浮上している。
だが“正答”は分かりきっている。
負担を押し付ける前に、経済成長で
「強い日本」を復活させることだ。
それを実現できる税制が今、求められている。
構成=蓮見将行、高橋大樹、写真=鰐部春雄
国家活動の源泉は税金であると言っても過言ではない。
年金、医療、福祉などの社会保障も、教育も、道路や空港、公園などインフラの整備も、警察や消防も、そして公務員の給料も……公共サービスはわれわれの“血税”がないと成り立たない。
日本で最も税金が使われているのは社会保障の分野だ。
今年度の一般会計予算は税収と過去最高の国債の発行で計約92兆円を計上したが、うち3割弱にあたる27兆円が社会保障に充てられている。少子高齢化が進むこの国で、社会保障に必要なお金は今後も確実に増え続ける。
しかし昨年度の税収は前年比5.6兆円減の38・7兆円だった。第2次補正予算後の見積もり額を若干上回ったものの、1985年度以来、24年ぶりに40兆円を下回った。
特に法人税収が同3.6兆円減の6.4兆円と激減し、2007年比では半額以下となった。
リーマン・ショック後の景気後退で企業収益が減少したほか、近年日本企業が海外進出を加速した結果、軽課税国の国外法人で収益を稼ぎ出すようになった結果だろう。一方で所得税収(12・9兆円)と消費税収(9.8兆円)は前年からほぼ横ばいなので、税収の急激な落ち込みは法人税収の減少が要因と言える。
このまま国家の生命線である税収が落ち込み続ければ、現状の公共サービスは維持できなくなり、日本の社会保障は破たんしてしまう。
菅直人首相は6月の所信表明演説でこう述べた。
「財政は先進国で最悪という厳しい状況です。もはや国債発行に過度に依存する財政は持続困難。税制の抜本改革に着手することが不可避」
そして、就任直後から財政再建への対策として「消費税増税」を掲げた。参院選前には自民党がマニフェストでうたった10%という数字を踏襲し、あたかも既定路線であるかのように「税金を上げなければ年金制度などが守れない」との主張を続ける。日本の消費税率が諸外国と比べて低い点も引き合いにして、「消費税率を国際水準にまで引き上げなければならない」と財務省の意見を代弁している。
合わせて所得税との一体増税も検討しているようだ。枝野幸男幹事長は累進課税強化の必要性を指摘、所得税増税発言をするようになった。
確かに消費税を5ポイントも上げれば税収は増加し、最大の国家財源となるかもしれない。消費税収は景気に左右されにくいとされるので、安定的に確保できる。所得税とともに増税すれば、さらに税収を増やせるだろう。
経済が発展し続ける国ならば、増税に耐えることもできる。消費水準の向上に伴い、国民が豊かになっていくのなら、重くなる負担に耐えてもいける。しかし、もはや日本の成長力は鈍化していて、その上に今はデフレの真っ只中にある。給料が減り、失業率が下がらない環境下で増税による国民への負担はあまりにも大きい。
税収減は法人税収の減少に起因していることを忘れてはならない。景気後退で苦しんでいるのは日本企業だ。だからまず、企業を支援しなければいけない。企業に活力が戻れば法人税収も回復し、日本の経済全体が復活する。デフレから脱却し、再び成長路線に乗ることも可能になる。そのために必要なのは何か。「法人税減税」である。
今特集では法人税、消費税、所得税の各パートで、それぞれの税金の意義とこれからの税制のあるべき姿をまとめた。「強い日本」を実現する税制を知ってほしい。




