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巻頭インタビュー◉堀江貴文
ホリエモン流 日本へのおせっかい

“虚業”時代の幸福論

水色のトレーナー姿に伸びた髪、収監前と比べてやせた堀江貴文氏が
フラッシュをあびせる報道陣に向けて深く頭を下げたあの日から2年半。
六本木ヒルズに東京地検が押しかけたライブドアの強制捜査からも3年半が経った。
最高裁へ上告中の堀江氏は最近、書籍を著したり、活字メディアの取材を受けたりと
盛んに発言するようになった。彼は今、何を考え、何をしようとしているのか。

構成=中野悠希 写真=鰐部春雄

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ライブドア事件で検察も痛い目にあった

── 最高裁の判決待ちの状態ですが、今振り返ってライブドア事件とは堀江さんにとってどういうものだったのでしょうか。

 どういうものだったんですかね。結局、誰でも捕まってしまう仕組みだから、「しょうがないな」という気はします。
 検察庁というところはそもそも意図を持ってその人を追い込むところ。個人的な興味から調べたのですが、検察が権力を握ったのも、政治的な勢力争いの歴史の中での出来事だったんですよ。
 明治時代までさかのぼるのですが、明治維新で主導的役割を果たした薩長出身者に、国家権力で枢要と言われる軍隊や警察組織が牛耳られていましたが、土佐や肥前などの出身者が、検察を利用すれば薩長の勢力に対抗できることを思いついたんです。つまり、汚職事件を扱うことで検察が強力な政治権力を持ち得ることに気づいたんです。
 その結果、1934年に起きた帝人事件では10人以上の逮捕者を出しながら、証拠が不十分だったため、裁判で全員無罪になりました。そうやって検察は暴走するんです。
 戦後、GHQが司法改革の目玉としていたのが、三権分立と検察からの捜査権はく奪でした。前者はうまくいきましたが、後者については検察からの強い反発にあいます。48年にはGHQの民政局の幹部が絡んだ昭和電工事件という疑獄事件が起きますが、GHQ幹部に手が回らにように検察が動いたとされています。
 その恩を売ることで、刑事訴訟法に「検察は必要に応じて捜査ができる」という一文を入れさせることに成功しました。これが、特捜部成立の法的根拠になっています。
 そういう過去の経緯を見ても、地検の特捜部というのは、民主的な機関ではなく、独善的になりがちな傾向にあることが分かります。しかも、警察と違って地検の特捜部は判例が固まっていないものや、今まで扱われたことのない事案を捜査します。しかも、個々の検察官のさじ加減で捜査するかどうか決めることができる。だから僕は検察の捜査権をなくすべきだと考えています。
 そもそも、ライブドア事件というのは、特捜部が扱った初めての大型経済事件なんですよ。ロッキード(76年)にリクルート(89年)。これまで政治が絡まない事件なんてなかった。そうであるにもかかわらず、検察がライブドアへの捜査に踏み切ったのは、経済の分野まで特捜部の縄ばりを増やそうという考えがあったのではないかと思います。
 ほかにも異例ずくめのことがたくさんあります。生きている(破たんしていない)会社を捜査するというのもその一つ。どうしても事件化したかったんだろうなと。そういうことを検察官個人で決められてしまうところが本当に怖い。

── 検察はなぜライブドアを「選んだ」のでしょうか。

 一番インパクトがあったからでしょう。目立っていたし、「たくさん悪いことやっているはずだから、堀江をやれば大丈夫」だと。
 でもライブドア事件で特捜部も痛い目にあいました。証券市場にめちゃくちゃインパクトを与えて大混乱させた点は反省しているんでしょう。今は特捜部が動くよりも金融庁が率先して課徴金処分を下すということをやっています。証券取引法違反などの経済事件について、どういう対処をすればベストなのかということが、だんだん分かってきたんだと思います。

── 裁判で宮内亮治氏らによる横領が分かり、「堀江主導説」の証言もされました。人を信じることについて、思うところはありますか。

 彼らは「降りた」と僕は思っています。諦めて実利を取りに行った。僕は何を取ったのかというと、まあ責任とプライドみたいなものじゃないですか。
 人は裏切るものだし、究極的に言えば必ず違法行為をしてしまう生き物だとも思っています。その考えはおそらくずっと変わることはないと思う。以前はそういうこと自体をあまり考えたことがなかったんですが、今はそれを前提に行動していますね。
 例えば、僕のマネジャーをしてくれている友人がいるんですが、運転しながら電話をしていたんですよ。ハンズフリーフォンを導入するように何回も言っていますが、導入したふりを一瞬するだけで、なかなか言う事をきいてくれません。最近になってやっと聞いてくれるようになりました。
 とにかく、言うこと自体が大事なんです。彼が万が一、電話中に人身事故を起こしたとします。民事訴訟では必ず「使用者であるあなたにも責任があるんじゃないか」と言われますよね。「僕は違法じゃないハンズフリーフォンにしないさいって毎日言ったのに、やらなかったんだ」と言えることが大事です。
 僕と関わる人にはそんなふうに、口うるさく言っています。嫌われても仕方ないと思うしかない。それは、周囲の人間に違法行為をやってほしくないし、捕まってほしくないという気持ちもあるけど、自己防御ですよ。
 何かをやるには組織が必要ですが、今後もし会社をやるとしてもそういう覚悟で会社をやるしかないと思っています。みんな悪いことをしているという前提で。だから細かく言い続けるしかない。

── ビジネスにあてはめると、人を信じられなくなれば、融資や投資など、お金が回らなくなってしまうように思います。

 信じるとか信じないとか、そんな面倒くさい話じゃなくて、もっと楽ちんな話だと思います。借りた分の金利を払うというのは、金利それ自体は大した金額じゃないからあんまり意味を持たないと思うんです。
 それよりも金利以外に返せるものがあるかどうか。お金を貸すことにメリットがあると思わせることが大事です。例えば、六本木周辺で飲食をやっている人は間違いなくスポンサーがいます。「水商売」と言う通り、すごく混む時もあればガラガラの時もある。飲食というのは、ならすとあんまり儲かっていなくて、スポンサーいないとやっていけないものなんです。
 じゃあなんでスポンサーになるのかと言うと自分の行きつけの店を作りたいとか、オーナーの女の子に惚れているとか。何かがあるんですよ。
 自分なりの価値を自分で作り出す。それが信用だと。だから不正行為をやるっていう話とはレイヤーが違うと思う。お金を融通してもらうには、何かを返してもらえると相手に思わせるような人間にならないといけないんですよ・・・


続きはFJ10月号で


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