2010日本経済浮上案
先人に敬服し、その言葉は自身の経営哲学にも取り入れた。
あらゆる事象を鋭く観察する北尾氏の目に、日本の現状と未来はどう映っているのか。
経済危機という名の暗闇を凝視し、日本が進むべき道筋を浮かび上がらせる。
構成=香川 誠 写真=鰐部春雄

産業を育てる国家ビジョンを
── 2010年の世界経済をどのように展望されていますか?
1929年の世界恐慌後は、ブロック経済化から第二次世界大戦へと移行しました。しかしリーマン・ショック後の経済危機では、世界各国が協調する形で問題と対峙し、話し合いによって解決しようと努力を重ねている。その結果、現在の世界経済はだいぶ落ち着きを取り戻していますが、問題の背景がなくなったわけではありません。グローバル資本主義体制が進展する中で、資本主義の持つ新たな側面が出てきた。例えば基軸通貨である米ドルの不安定性。基軸通貨を支えるには軍事力、経済力、政治力の3つの要素が不可欠ですが、米国はそれらの力が低下しています。相対的に、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)など新興国の力は増しています。
G8からG20になったのはある意味象徴的で、温室効果ガスの問題も含め、世界は先進国だけではものごとを決められないようになってきた。それだけ、リーマン・ショック以降の経済危機からの脱出において、中国の果たした役割は大きかったのです。中国はこんな状況下でも、09年のGDP成長率が8.5%を達成する勢い。10年度はそれを上回るとみられています。ブラジルも世界的な食料生産国として注目されるでしょう。50年に90億人になると言われる世界人口を考えれば、食料価格は今後上がらざるをえない。食料生産国や資源保有国の存在感は今後も大きくなります。BRICsに続けとばかりに、VISTA(ベトナム・インドネシア・南アフリカ・トルコ・アルゼンチン)も頭角を現してきています。世界の相対的な位置関係が大きく変わりつつあります。
── 日本の位置づけも変わる?
日本の相対的地位は大きく低下し、世界は日本をネグレクト(無視)する方向に動こうとしています。これまでアジアを代表していた日本も、今やそうではない。資源のないちっぽけな国が、デフレになって経済成長率もどんどん落ちていくようでは、「相手にしてもしょうがない」と思われても仕方がありません…
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