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年金記録改ざん問題
「時効で無罪になった国家による組織的詐欺」

厚生年金記録の改ざんに、社会保険庁の職員が組織的に
関与していたことがわかった。一体、問題はどこまで深刻さを増すのか。
また調査委員会の委員長を務めた野村修也氏に、調査内容について解説してもらった。

構成=FJ編集部

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証拠を破棄、印鑑を偽造
改ざん方法を先輩に習って

 やはり組織的な犯行だった。
 厚生年金の記録改ざんに社会保険庁職員が関与しているかどうか調べていた厚生労働大臣の調査委員会(委員長・野村修也中央大学法科大学院教授、4人)は11月28日、一部の職場において現場レベルで組織的な改ざんが行われていたという調査結果を公表した。

 同委員会は職員への聞き取りやアンケートを行ったり、標準報酬月額が改ざんされた恐れの高い約6万9000件の記録を分析したりして調査してきた。アンケートには全職員の97%にあたる約1万4500人が回答、不適正な処理に「関与したことがある」と答えたのは153人。「他の職員が行っていたことを知っている」と答えたのは190人いたという。
「証拠が残らないようシュレッダーで廃棄した」「三文判で(書類を)偽造した」──。調査結果からはこうした具体的な手口も明らかになった。一部の社保事務所では、従業員の記録には手をつけずに事業主の記録だけを改ざんし、保険料の滞納がなかったことにする手口が「仕事のやり方として定着していた」そうだ。「上司からの暗黙の指示と了解があった」「(改ざんの)やり方は徴収課の先輩から受け継いだ」という。

 調査委は「事業主だけではなく従業員の記録も勝手に改ざんしたケースや、長期間にわたって極端な引き下げをしていたケースは悪質」(朝日新聞)として職員を懲戒処分にすべきと指摘したが、時効で刑事告発しなかった。だが国が国民を欺いたのは、まぎれもない事実だ。
 これまでに明らかになったところでは、関係者を罪に問うことはできなくなった。さらに調査しても、「時効」の壁は立ちはだかるが、全容が解明されてもいない問題を幕引きする訳にはいかない。
 調査委は「本庁の関与は認められなかった」とした。だが、調査の対象に“社保庁OB”は入っていない。記録の改ざんが最も多く行われたと見る1992年ごろに在籍し、その後退職した元職員こそが、より詳しい実態を知っているはずだ。そもそも改ざんが行われた理由は、保険料の徴収率を高くして成績をよく見せることだった。証言にも「滞納件数を減少させるプレッシャーから、年度末は改ざんが増える」というものがあった。

 毎日新聞は「改ざんの最大の動機とされる『徴収率の維持』は本庁の予算確保が目的との指摘もある」と指摘する。「社保事務所に出向した本庁の職員が改ざんを主導する立場にあったのでは」という考えは間違いではないだろう。
 野村委員長らが公表した調査結果は労作といえる。コンプライアンスや法律の専門家たちだからこそ、論点の整理と実態解明につながる大きな一歩が踏み出せた。

 しかし、指摘したとおり、調査対象が限られていたわけだし、委員会は4人しかいなかった。調査にもおのずと限界があろう。求められるのは強力な権限を持った調査チームによる、本庁および厚労省を含めた大規模な調査だ。重要なのは、客観的立場に立った第三者による監視。省内で調査チームをつくって調べたところで、客観性は担保されない。監視役を担うのは調査委が適当だろう。霞が関は、昨日まで職員一同が「ない」と言っていた資料が「急に見つかった」と出てくるところ。自主調査だけでは、国民の信用は得られない・・・


続きはFJ2月号で


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