« 日本の逆チャンスを活かせ~青山繁晴 超経済外交のススメ | メイン | 脱藩官僚鼎談霞が関改革を後退させるな髙橋洋一X上山信一X岸 博幸 »

水で日本は世界に貢献できる
中川昭一(財務大臣・内閣府特命担当大臣)

政産学官連携、「チーム水・日本」結成へ

7月に最終報告をとりまとめた自民党の
「水の安全保障研究会」で会長を務め、
水分野の専門家を交えた幅広い議論をリードしてきた
中川昭一議員に、今後「日本の水」を
世界でいかに活かすのかについて聞いた。

構成=玉居子精宏 写真=鰐部春雄

fj11_nakagawa.jpg

水問題は各界一致で

―― 「水の安全保障研究会」の発足の経緯や意図を教えてください。
 私自身が、3年くらい前に偶然にも水の重要性を知る機会があり、それをきっかけに呼びかけて研究会を始めました。いま世界を見ると、非常に多くの人が水で困っているという事実があります。日本ですら洪水や渇水の問題にとどまらず、水全般の状況は非常にデリケートなものです。
――〝デリケート〟とはどんな状況を指すのでしょうか。
 たとえば、日本の1人当たりの水保有量は世界平均の3分の1しかありません。「日本は水資源だけは潤沢だろう」と思い込んでいたんですが、水資源ですら少ないことがわかった。
 研究会には各方面の水の専門家を招き、勉強を進めました。その中で改めて、水はきわめて重要であり、デリケートであり、そしてまた、生命にも地球そのものにも欠くことのできない、そして現在も将来も不安な状況にあるということを認識させられました。
 ではそんな状況に対してわれわれ政治家、あるいは日本がやれることは何であるか? それをみんなで考え、今年の7月に研究会から最終報告書を出しました。
 これからは政治と行政、学界、産業界が一体となって水問題に取り組んでいこうと、第2段階の作業を始めたところです。
―― 第2段階とはどのようなものになるのでしょうか。
 研究会は発展組織として、「水の安全保障に関する特命委員会」となります。研究という目的は、報告書の提出で達成しました。この報告書や各種の議論に基づき、「今度は政治や行政がやらなければいけないことをやっていこう」という考えで、特命委員会に衣替えして実際の作業に入っているところです。
 経済産業省が日本企業の水ビジネスにおける海外市場開拓の支援を明らかにしていますが、これも研究会の報告書の一部にあります。

オールジャパン体制構築を

―― 日本はODA(政府開発援助)でも「水関連のパーツ貢献だけ」といったケースがあり、水ビジネスの企業が継続的な事業のチャンスを得るに至っていないという声が聞かれます。
 日本は海水淡水化などに使う膜の技術など、技術の面では世界のトップクラス。また自治体が中心となって運営する上下水道に蓄積されたシステムや維持管理のノウハウには素晴らしいものがある。これらをODAだけではなく、ビジネスの大きなチャンスにもなると位置づけ、オールジャパンで世界に出ていきたいところです。
―― 水が持つ公共性を踏まえ、NPO(民間非営利団体)などが、水ビジネスの企業を批判する例もあるようです。
 世界的に水ビジネスはこれから盛んになってくると思います。ただ、条件の厳しい場所で、小規模の水を確保するといったケースでは、日本のNPOにも実績がある。そこは「チーム水・日本」というコンセプトのもと、十分に補完関係を構築できるでしょう。水ビジネスとNPOの活動が対立するのではなく、NPOの皆さんをバックアップする体制をつくることが国際貢献へプラスに働くのではないかと考えています。
 欧米の水メジャーに相当する企業はまだ日本には存在しないと思いますが、たとえば東南アジアのある大都市で数百万人に対する上水ビジネスを日本企業とヨーロッパ系企業2社が担った例があります。ヨーロッパ系は撤退した一方で、日本企業は現在でも安定的に市民に水を供給している。受益者に対してどちらが役立っているかは明らかでしょう。ビジネスとしては利益の問題は避けられませんが、水で日本が果たす役割は、ビジネスに加えてもっと意義深いものがあると考えています。

中国の水問題は日本の問題

―― 世界的な水不足も指摘されていますが、実は日本は水の〝輸入国〟であるとの議論があります。
 大雑把にいって、「穀物を1キログラムつくるのに水2トン、牛肉1キログラムつくるのに水22トン以上必要」といった計算を東京大学生産技術研究所の沖大幹教授が発表していますね。いわゆるバーチャルウォーター(仮想水)という概念で考えると、日本が輸入する農産物を水換算すれば日本の食糧生産に使われているよりはるかに多い量の水を外国から輸入している、言い換えれば〝奪って〟いる。他方、世界の10億人以上が水で不自由をしているわけですから、気候変動の問題と一体のものとして、日本全体で水の重要性を考え直す必要があるでしょう。
―― 日本は高度成長時代、水質汚染を経験しましたが、研究会では中国の水問題をどのように議論したのでしょうか。
 中国は巨大国家であり、めざましく発展しているだけに、汚染といった形で水問題が表れています。南の豊富な水を不足する北へ送るという「南水北調」プロジェクトを見てもわかるように、水不足の面も問題視されています。
 中国の状況は日本に無関係ではありません。日本の気候は、ヒマラヤ、中国とつながっているわけで、経済成長による気候変動は何らかの影響をもたらす。つまり中国の問題であると同時に日本の安心安全に対する大きな問題にもなってくる。
 だからこそ中国もしっかり認識して欲しいし、日本としては協力すべきところはしたい。中国には自国内だけでなく周辺国にも悪影響を及ぼさないよう努力してもらいたいと思います。
――〝水の安全保障〟は世界的な相関性も意識しているのですね。
 そうです。水には境界線がありませんから、一国の問題でもない。北海道洞爺湖サミットでも、水と衛生が地球規模の問題として一つの合意事項になりました。そういう認識のもと、ある意味で日本が世界をリードしていきたいと思っています・・・


続きはFJ11月号で


ツイッターでつぶやく   このエントリーを含むはてなブックマーク  Yahoo!ブックマークに登録  この記事をクリップ!  トピックイットに投稿する  newsing it!  このエントリをdel.icio.usに追加


関連記事

リリースをお寄せ下さい

FJ編集部
FAX:03-5652-5521

mail:pressrelease_to●media-concept.co.jp


●を@に変更して下さい

Phone 03-5652-5635




New ネクストウオッチ プレゼント 当選者発表




PR



Add to Google

My Yahoo!に追加

はてなRSSに追加

エキサイトリーダーに登録