
「平成の関東軍」――。歴代の日銀総裁にモノを申してきた中川秀直氏は、
独立性に起因する日銀の“暴走”に警鐘を鳴らす。日銀はなぜ暴走したのか?
デフレ脱却を政策の「一丁目一番地」と指摘する中川氏に話を聞いた。
白川総裁は
「不況の責任」を認めない
── 中川さんは、「デフレ不況の原因は日銀の失敗にある」
と指摘しておられます。具体的にはどのような点ですか?
私が官房長官を務めていた時、速水総裁(優・在任期間1998年~2003年)はゼロ金利解除を断行しました。結果的に未曾有の不況に突入しましたね。福井総裁(俊彦・同03~08年)に代わり、改善してもらえると思えば、問題は先送りにされただけでなく量的緩和を止めてしまいました。
今、私は日銀に対しインフレ目標を掲げた金融政策をやるべきだと言っています。ところが、彼らは言葉で誤魔化すばかりで、一向に動いてくれません。日銀も実質的には政府機関の一部です。そういう意味では、もう少し世界の常識が通用するような中央銀行であってほしい。
── 政府と日銀が協調体制を持つべきだと?
私はイングランド銀行(英国中央銀行)のマーヴィン・キング総裁とお会いし、「議会とのアコード(協定)」について話を聞きました。インフレ目標を達成できていない場合、キング総裁はその理由を議会に説明しなければならない。大きな責任のもとで金融政策を実行しています。
リーマン・ショックから約2年、主要国でデフレ脱却を果たしていないのは日本だけです。格差は拡大し、11万人もの就職浪人がいる。こうした現状から何としても抜け出さなければなりません。私はデフレ脱却を政策の“一丁目一番地”として、自民党のマニフェストに明記させました。具体的には、「金融、税財政、成長戦略など政策総動員で早期にデフレ脱却し、名目GDP成長率を4%とする」と。さらには、0.5%~2.5%のインフレ目標、平成のプラザ合意とも言える日米を中心としたマクロ経済政策協調も盛り込んであります。今日の極端な円高を見ていると、本当に平然としていられませんよ。民主党の中にも私と同じ意見の国会議員が結構いますよね。それにもかかわらず、日銀は聞く耳を持ちません。
── 日銀側には「独立性」を強く意識している人が多いようですが。
日銀法第4条には「日銀の金融政策は政府の経済政策の基本方針と整合的なものでなければならない」と規定されています。しかし、現実はそうなっていません。ならば、より政府の意向が反映させるために、日銀法を改正すべきです。独立性を尊重した89 年の法改正が、結果的に20年間の停滞をまねいた。その点については、当時与党だったわれわれも責任を感じます。しかし、実質的に今の総裁を任命したのは民主党です。自民党は違う人を任命しようとしたが、民主党の拒否権にあって白川さんに決まりました。
── 白川総裁に対してはどのような印象をお持ちですか?
8月2日の衆院予算委員会で、白川総裁は「不況の責任」を認めませんでしたよね。日銀法上、不況の責任は日銀にないという判断なのでしょう。皮肉にも、日銀法の“欠陥”を正直に示して頂いたんではないかと思いますよ。政府の経済政策はデフレ脱却と不況回復です。
日銀の政策はその一貫なのに、「責任がない」と言うなら、日銀法の規定は不十分ということです。実質的に白川さんを任命した民主党の松原君(仁・予算委員会筆頭理事)でさえ、「あまりにも無責任な発言だ」と白川総裁に噛み付いていましたよ。
── 民主党内にはデフレ脱却の重要性を指摘する議連が立ち上がる一方、執行部は非常に後ろ向きです。
菅さんが・・・



