投資の基本は長期国際分散。年金不安が増す中、「老後」を考えた投資は
一刻も早く始めるべきだ。少子高齢化、日本企業の海外シフトが進む中、
食料をはじめ輸入品がなければ生活が成り立たない現状、外貨建ての資産を持たないことは
リスクといっていい。中でも注目されているFX(外国為替証拠金取引)について、
長期投資の観点から考える。
構成=FJ編集部

8割が「老後の生活に不安」
「老後の生活に不安はない」――。そんな人が果たしてどれだけいるだろうか。
少し古いデータだが、総務省が2003年に発表した「平成14年個人年金に関する市場調査」。調査対象は、世帯主の年齢が30~ 59歳で夫婦2人以上の約4800世帯だ。このうち、「老後の生活に対する不安を持っている」と答えた世帯は39・3%。1993年には28・1%だったから、わずか10年足らずで10ポイントも増えている。さらに「どちらかというと不安を持っている」人も入れると、実に約8割になる。「不安をもっていない」と答えているのは、わずか3%弱にすぎないのだ。それでは、高齢者世帯の毎月の収支はどれくらいの額なのだろうか。世帯によって異なるだろうが、各種の数値から平均的な姿を想定してみる。
厚生労働省の調べによると、高齢無職世帯の毎月の支出額は約28万円。これに対し、収入は約22万5000 円で、毎月約5万5000円不足している(図1)。
それでは、退職後の生活を支える原資はどれくらいになるのか試算してみよう。
まず貯蓄を見てみる。平均貯蓄額は金融広報中央委員会が今年2月に発表した「家計の金融行動に関する世論調査(2人以上世帯調査)」でわかる。一世帯あたりの金融資産は1259万円だった(前年比140万円増)。ちなみに投資先としては半分以上が銀行預金、郵便貯金で、効率よく運用しているとはいい難い実態が浮かび上がる。
次に退職金だが、退職金の平均額は大学卒の総合職で約2400万円(労務行政研究所調査、04年)。高卒の総合職で約2100万円という。
それでは年金はどうなのだろうか。厚生労働省の「平成20年度の年金額について」によると、夫婦2人分の基礎年金を含む厚生年金は、月額23万2592円となっている。

ゆとりある老後の暮らしに必要な金額とは
一方の支出面はどうだろうか。現状で支出額の平均が約28万円となっているが、「ゆとりある老後の生活費」としては、約38万円かかると考えられている。生命保険文化センターが発表した「平成19年度の生活保障に関する調査」によるもの。これは、「ゆとりある」暮らしをしたい場合だが、誰しも老後はあくせくしたくないもの。余裕を持った暮らしを実現するための対策を考えたい。
これらを考え合わせ、収入が基礎年金を含む厚生年金だけだとすと、毎月の生活費は約15万円程度足りなくなりそうだ。
そこで、退職金やコツコツためた預貯金が2500万円あったと仮定し、それを少しずつ取り崩していったとすると、どうなるだろうか。それをシミュレーションしたのが図2だ。
まったく運用しなかった場合、約14年3カ月でなくなってしまうことがわかる。2500万円を元本として、年利3%で運用したとすると、なくなるのは約18年7カ月後。資金が尽きるのを4年以上先送りできた。さらに、年利5%で運用できれば、25年持つ計算になる。
実際には、予想外の支出もあるだろう。そのためには保険などもあわせて検討すべきだが、年利数%の運用でもこれだけの違いが出るという点に注目したい。
厚労省によると、日本人の60歳時点での平均余命は男性で約22年、女性で約28年。つまり男性は82歳まで、女性は88歳くらいまでの生活費は少なくとも考えておくべきということだ。
そこで考えなければいけないのが、退職金の運用だろう。しかし、資産運用は、退職金をもらってから始めるというものではない。老後の生活を見越しての運用開始は早いほうがいい。



