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日本のおカネをもっと元気に
運用立国への道
~FJ資産運用サミット2008
澤上篤人×木村 剛

長期投資家の代表的存在である澤上篤人が、「ホンキの資産形成のための運用術」との演題で木村剛と対談した。
資源価格の急騰や株安、人口の増加など世界情勢の分析を交えながら、投資のポイントを解説した。

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日本企業へ投資したおカネが新興国で働いてくれる

 恒例の会場となった東京・六本木ヒルズのアカデミーヒルズ49階で6月21日に開かれた第8回には、約350人の個人投資家らが詰め掛けた。
 長期投資家の代表的存在であるさわかみ投信の澤上篤人代表と金融コンサルタントで前FJ発行人の木村剛が対談したほか、日米で上場している製薬企業メディシノバ・インクのIR、最近UAE株式の取り扱いを始めたニュース証券によるPRプレゼンテーションが行われた。
 澤上篤人氏と木村剛の対談は、「ホンキの資産形成のための運用術」との演題で行われ、澤上氏は、資源価格の急騰や株安、人口の増加など世界情勢の分析を交えながら、投資のポイントを解説した「日本人は元気がない。でも、日本にも元気なものがある。それはおカネです」
 6月上旬にベトナムを訪問したばかりの木村が、「ホーチミンの熱気と比べると日本は元気がなさすぎますよね」と嘆いたところ、澤上氏はこのように答えた。つまり日本の投資家が投じた資金が、企業などを通じて新興国へ流れ、そこでインフラ整備などに使われている、ということだ。
澤上氏はまた、日本の個人金融資産約1500兆円のうち約1000兆円が預貯金と生命保険にあてられていると指摘した上で、「ここ10年くらいの間に、そのうちの100兆円くらいは株式に、もう100兆円くらいは投資信託に回るでしょう」との見通しを明らかにし、「国内企業へ投資すれば、企業のグローバル化にともなって、結果として国際分散投資になる」とも述べた。
「日本人に元気がない。どうにかならないものでしょうか」と木村が問うと、澤上氏は「つける薬なんてない。すぐ元気を取り戻すなんて無理」と笑顔ながら容赦なく断言した。その根拠として、日本が豊かな国であることを挙げ、「なんだかんだ言って“食える”。その間は無理でしょう」と話した。1970年代、80年代ごろのイギリスをはじめとした欧米諸国の例をあげ、経済が行き詰り、「商店がたたき壊されるような暴動が起きたが、日本はそこまで行っていない。つまり、まだ追いつめられていない」とする一方で、「これからだんだん、お尻に火がついていくでしょう」と述べた。
 個人、世帯の経済状態が悪化しつつある例として、貯蓄率が下がっていることを挙げ、「かつて23%あった貯蓄率が2年前には2.8%まで落ち込んでしまった。先進国の平均は8.6 ~ 8.7%あるし、先進国で日本を下回るのはアメリカだけ。さらに、“貯蓄ゼロ世帯”が23・8%もあるんですよ」と話した。

利率1.4%の国債はプロの投資家が買う商品か?

 その後、世界的なインフレや、日本の金利、税率なども話題になった。「消費税率がいずれ上がることは間違いなく、税金は上がる一方でしょう。なぜなら国はお尻に火がついているから」と話した澤上氏はさらに、「所得が減って税金が上がれば、生活水準の維持は難しくなるのは当然。その上、いまは世界的にインフレ傾向にある。インフレになれば預貯金資産は目減りするし、金利上昇で債券価格が下がる。それは年金にも影響してくる」と述べた。
 木村が「金利が上がるようなら、住宅ローンを組んでいる人は大変になりますね」と向けると、「変動金利で借りている人は、一刻も早く、今日にでも固定金利に替えるべきです」と訴えた。
 債券運用について澤上氏は、日本の債券発行市場が世界最大であるにもかかわらず、流通市場は小さく、機関投資家は機関“保有家”などと揶揄されていることに触れ、「日本の機関投資家はプロじゃない」と言い切った。その根拠として、自身が外資系金融機関の日本法人代表を務めた経験から、「日本では看板を出せば放っておいてもおカネが集まってくるので、運用結果は関係ない。海外(の機関投資家)は成績を出さないとおカネが集まってこないから、成績・結果が重要」と述べた。
 財務省が「個人向け国債」をしきりにPRしていることを木村が話すと、「10年で利回りが1.4%程度では、プロが買う商品じゃない。6~8%なら運用としての計算も立つだろうけどね。(個人投資家は)国債が好きなら買えばいいけど、自分は絶対に買わない」とキッパリ。さらに「自分は長期投資家なので20年、30年というスパンで考えている」と断る一方で、「機関投資家が結果を求められるスパンは短くなっている」と現実を指摘。ここに至る経緯を「60年代後半から米企業が国際化して、『ユーロドル市場』が広がった。71年にニクソン大統領がドルと金の交換を停止し、アメリカは貿易赤字が本格化したが、ペーパーマネーが世の中を闊歩する“金融の独り歩き”が始まった」と解説し、「数十年後に支払われるはずの“年金”の運用は本来、長い目で見て行われなければいけないのに、運用成績の評価は3年になり1年になり、半年、四半期と短くなっていき、長期投資がしづらくなってきた」と指摘した。

続きはFJ9月号で


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