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スタグフレーション
新型スタグフレーションに適応しよう
~FJマーケットデータ

世界的な原油や食料価格の急騰によって、スタグフレーションが現実味を帯びてきた。
21世紀の新型スタグフレーションは、従来型のそれとどのように違うのか?
今後の日本経済の舵取りはどうあるべきか?
元日銀マンであり経済問題に造詣が深い大塚耕平参議院議員に、その現状と対策を聞いた。

構成= FJ 編集部 写真=鰐部春雄

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ジャブジャブのマネーは溢れ出すマグマ

―― スタグフレーションの再来が語られているが。
 
20世紀後半という時代は、世界的に見て金融緩和が長く続いた時代。つまりマネーが過剰に供給され続けた時代だった。最大の要因は、基軸通貨であるドルの供給過剰が続いてきたこと。そこへ、プラザ合意後の日本の金融緩和、さらにはバブル崩壊後の異常ともいえる超金融緩和が加わった。また、1990年代後半以降は、中国の金融緩和も重なった。中国はドル買い介入によって人民元を市場に放出し続けることで、事実上の金融緩和政策を続けている。
 今は、世界中にマネーがジャブジャブに溢れた状態。過剰流動性の問題は20世紀後半以降、基本的には変化していない。いつ本格的なインフレが始まってもおかしくない状態だ。
 世界の過剰流動性は90年代後半にまず東南アジアへ向かい、21世紀初頭にはITバブルの起爆剤となり、その後は世界各地の不動産へ、さらに新興国株式へと転々とした。各市場で次々と価格急騰を招いたが、逃げ足の速い資金の逃避でバブルは敢え無く次々と崩壊した。去年から今年にかけて、マネーは資源と穀物に向かい、価格急騰を招いている。
 このような世界の過剰流動性は、マグマに例えられるだろう。マグマが増え過ぎると、一部は必ず地表のどこかに噴出する。あるときは、不動産という火山になり、今は資源コモディティーという火山を形成している。このマグマは当分の間、減りそうにも収まりそうにもない。被害を最小限に食い止めながら、上手にコントロールすることが必要だ。これが今後10年の世界経済の大きな課題になるだろう。
 ここにきてECB(欧州中央銀行)は金融引き締めに転じた。バーナンキFRB(米連邦準備理事会)議長もインフレを警戒して、金融緩和の小休止を示唆している。世界中がインフレを警戒しなければいけない事態が発生している。

21世紀のスタグフレーションは複雑

 一般に経済の教科書には、景気が良い時は物価や賃金が上がり(インフレ)、不況期には物価や賃金が下がる(デフレ)と書かれている。ところが、1960年代からアメリカが基軸通貨のドルを刷り過ぎたために、不況のもとでもインフレが起きるようになった。こうした状態をスタグフレーションと呼ぶ。 
70年代、スタグフレーションは2度に及ぶオイルショックをきっかけに、すべての先進国共通の課題になったが、当時はなんとか切り抜けた。21世紀の今は2度目の本格的なスタグフレーションだ。今回のスタグフレーションの背後には、人類がかつて経験したことのない大きな構造変化も伴っている。中国・インドなどの新興国群では、安い賃金で働く大量の労働者が存在する。これによって世界的な賃金裁定が働き、先進国の賃金は上がりにくくなった。
 また、巨大な人口を抱える国々が、一斉に文化的な生活を求め始めた。当然、資源エネルギーや穀物の価格は上昇する。賃金が上がらないのに、モノやサービスの価格が上昇する。これが、現在直面している21世紀の新型スタグフレーションだ。対策を立てるにあたり、これまでの常識や経験則は通じないだろう。
 物価動向も「原材料」「中間財」「最終消費財」の3つに分けて考えなければならない。急激に値上がりしているのは、資源エネルギーや穀物などの原材料。また、イノベーションの効果があまり波及しないガソリンや食料品など、最終消費財も値上がりしている。
 一方、イノベーションや新興国群の安い労働力が大きく影響する一部の物価は値下がりしている。中間財や一部の最終消費財は、それほど値上がりしていない。21世紀の新型スタグフレーションは、その影響が複雑な現れ方をしているのが特徴だ。

超金融緩和からの脱却を

 今後の日本がとるべき対策としては、まず超の付く金融緩和から脱却し、金融政策を方向転換すべきだろう。第二に、まったく新しい分野での内需振興策をトライすること。輸出と低金利が長らく日本経済浮揚の鍵だったが、このような従来型の経験則や対応はもはや通用しない。

続きはFJ9月号で



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