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[特集]新・世界投資 傾向と対策~2限目 資源

世界の成長エンジン
コモディティへの投資法を探る

生活必需品の価格が上昇している。そのもととなる資源(商品)の価格が世界的に上がっているからだ。増える需要、伸びない供給。そして投機資金の商品相場への流入。サミットでも課題として取り上げられているが、これらは世界規模の大きな問題だ。それでも資源は経済の成長に欠かせない。この危機を成長や価値の増大につなげられる国や企業、金融商品を探す必要がある。

構成=濱田 優

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世界を襲う“3F危機”

「中長期的には途上国での構造的な需要の増大と既に進行している供給の抑制で、市場はタイトな状態が継続するだろう」――。
 国際エネルギー機関(IEA)は7月1日、2013年までの世界原油供給が予想より伸びが小さいとの見方を示した。世界の供給能力は12年までに日量9533万バレルとなるものの、1年前の予想より270万バレル少ない。
 7月に開かれた主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)で採択された首脳宣言。冒頭で、原油・食料高により「世界経済は不確実性と下振れリスクに直面している」と指摘。原油高対策では、生産拡大の投資などを呼びかけた。だが、いくら生産拡大をはかっても限界がある。供給の伸びはそう期待できないのに、さまざまなリポートや報道が、資源需要のさらなる高まりを予想している。省エネ、省資源の技術開発は進められているが、世界的な人口増加のスピードに追いつく保証はない。国連によれば、現在65億人超の人口も、2050年には91億人に達する見込みだから、無理もない。
 原油高のみならず、現在、世界経済の重要なテーマとして掲げられているのが「3F」だ。
 フランスのラガルド経済財務雇用相が6月に大阪で開かれたG8財務相会合で指摘したもので、「原油高(fuel)」「食料高(food)」「金融の混乱(finance)」を意味する。サブプライムローン問題も収束しないままに、資源価格の増大で食料価格が上昇してインフレ圧力が増大。世界の経済・金融市場で大きな存在感を持つアメリカ経済が減速、ドル安が顕在化、信用収縮が広がっているということだ。
 原油とともに価格の高騰が問題となっている食料。牛肉、植物油、精糖などあらゆる食料価格が高くなっているが、穀物の相場は06年秋ごろから価格上昇が目立ち始め、昨年、一気に加速した。
 背景には、まず需給の不均衡がある。世界的な人口の増加、中国やインドなどの新興国で生活水準が向上していることなどが需要を押し上げているのだろう。
 代替エネルギーへの転換が注目されたことも、価格急騰を促している。ブッシュ政権がバイオエタノールなどの再生燃料に着目し、利用目標を高めに掲げ、需要も一気に高まったのだ。原料のトウモロコシは価格が高騰している。
 トウモロコシに関しては、アメリカは世界の生産量の40%を占める最大の輸出国だが、今年は穀物地帯で豪雨や洪水に見舞われたこともあって、生産量見込みは下方修正されている。生産量2位の中国でも需要の急増により、「早晩、純輸入国に転じる可能性が高い。この場合、世界から輸出国が消えてしまう可能性さえある」という(丸紅経済研究所の柴田明夫所長、本誌08年7月号のインタビュー)。
 アメリカが言うように、バイオ燃料の増産は石油の節約に貢献している。だが食料危機という別の問題を生んでしまっては、元も子もない。イギリスのブラウン首相は、バイオ燃料が食料高騰に関係していると指摘している。この意味では、国連食糧農業機関(FAO)が主催した先の食料サミットで、福田康夫首相が提唱した、稲ワラなどを使った次世代バイオ燃料の開発には期待がかかる。
 また主要穀物である小麦についても、インドなどを中心に需要が伸び、価格もうなぎ上りだ。
 需要が高まる一方、穀物の供給は潤沢とはいい難い。アメリカ農務省は4月9日に発表した07―08穀物年度(07年9月~08年8月)の予測で、世界の期末穀物在庫量は3年連続で減少、前年度の16.6%から15%に低下すると指摘している。2000年ごろには30%を超えていたことや、72~73年度の食料危機のときですら15.4%だったことを考え合わせると、とんでもない水準にあるのだ。
 世界の穀物生産は前年比で3.8%増の見通し(FAO調べ)だが、06年に主要生産国のオーストラリアを干ばつが襲い、供給が減った記憶は新しいし、在庫水準も低い。この程度の増加の見通しでは、ひっ迫感を解消するには至らない。

ポートフォリオに組み入れ

 穀物価格が上昇した要因は、需給バランスが崩れたことだけではない。投機資金の流入など、穀物が金融商品として扱われる傾向が顕著になったこともある。サブプライム後のアメリカ経済の軟調、ドル安を受け、商品先物へ資金が移ったと考えられているのだ。
 この点は北海道洞爺湖サミットでも課題となった。穀物需給と無関係の投機資金をけん制すべきとの声が高まったのだ。最終的には、G8は商品市場の監視強化を合意したが、アメリカなどは、あくまで市場を重視する立場から、踏み込んだ規制に対して反発している。商品価格を沈静化するには、アメリカ経済の復調が必須との見方を、一部のエコノミストが示しているが、いずれにせよ、早晩解決される問題ではなさそうだ。
 個人投資家は、食品やガソリンなど生活に欠かせないモノの価格高騰に対して生活防衛をすると同時に、この世界的な流れを投資に生かす方法を考えるべきだろう。
 商品・資源を組み入れた投資信託を購入するのが一案だ。モーニングスターによると、5月末現在、国内で販売されている純資産総額10億円以上の投資信託で、過去6カ月間のトータルリターンランキングでトップ10のうち8本が「コモディティ型」だった。商品先物も、取引の仕組みがわかりやすくなっているし、「ミニ」取引など、少額からの投資も可能だ。
 企業に目を向けて株式投資をするのもいいかもしれない。みずほ総研のチーフエコノミスト・中島厚志氏は、「資源価格高騰は日本経済にとっての大チャンス」と題したリポートを発表している。今回の資源・商品価格の高騰を、技術開発やサービスの提供で、自社の成長に結びつける企業もあるだろう。
 さまざまな要因が絡み合い、世界規模で価格が高まっている資源・商品。投資の機会とするのは必須だといえないだろうか。

続きはFJ9月号で


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