新興市場の株価低迷が続いている。
2年前のライブドアショックによって大きく値を下げた新興市場の平均株価は、
その後回復の兆しを見せることなく、ジリ安の展開だ。
なぜ新興市場の株価は戻らないのだろうか、新興市場に上場する企業自身は
この状況をどう受け止めているのだろうか。
構成=堀内彰宏 写真=鰐部春雄・共同通信社

新興市場は依然として独歩安
東京地検特捜部は2006年1月16日、かねてより逮捕のうわさが囁かれていた堀江貴文氏が経営するライブドア社に強制捜査をおこなった。
バラエティ番組などに多数出演し、「ホリエモン」の愛称で親しまれていた堀江氏の会社「ライブドア」は東証マザーズに上場するベンチャー企業のシンボル的存在。同社への強制捜査という事態に株式市場は混乱し、その後、2営業日で東証マザーズ指数は628ポイント(マイナス22・42%)も急落した。
前年の05年は株式市場にとって飛躍の年だった。日経平均株価は40%以上上昇し、JASDAQ平均も50%を超える伸びを示した。新興企業の株価は過大評価されている向きもあったが、ライブドアショックで冷や水を浴びせられることになった。
その後、東証1部の株価は回復したものの、新興市場では、ライブドア事件で問われた罪が、「虚偽の決算報告」「偽計取引」「風説の流布」などだったことから、新興企業の決算内容に対する信頼性が薄れたとして投資が手控えられるようになった。
また、同年6月5日に、M&Aコンサルティング(通称村上ファンド)の村上世彰代表がインサイダー取引の疑いで逮捕されたことも影響した。同ファンドが保有している株が売却されるとの懸念が、新興市場の株価の上値を重くした。
マザーズ指数は06年がマイナス56%で07年はマイナス29%と3分の1以下にまで下落している。
しかし、株価が3分の1以下になってしまうほど、新興市場に上場している企業は売られる理由があるのだろうか。
00年のITバブル時には売り上げのないベンチャー企業でも、「IT」と名がつけば、数年先までの成長が株価に織り込まれ、実体以上に割高な株価がつく傾向があった。
しかし、今回は、ネット業界が成熟してきたため、少なくとも当時よりはビジネスの実績を出している企業が増えていた。
07年末時点でのJASDAQの平均PER(株価収益率)は18倍程度、これは東証1部の17倍とそれほど変わらない。一般的に新興企業は企業規模の観点から成長力が高く評価され、東証1部企業より割高になるもの。本来の株価より不当に低く評価されているとは言えないだろうか・・・
成長意欲ある新興企業
新興企業の株価下落は、実体を表しているのか。そこで新興企業の実情を知るため、07年12月に新興市場(JASDAQ、マザーズ、ヘラクレス)で時価総額が上位100社に入っている企業19社にアンケートをお願いした。
「現在の自社の株価水準」については、8社が割安と考えていた。理由としては「ビジネスモデルが理解されていない」「PERが10倍を切っているのは低すぎる」などが挙げられていた。
また、14社が現在いちばん必要としているものとして「人材」を挙げた。「売り手市場で確保しがたい」「内部統制強化のための人材を必要としている」といった意見もあった。これは事業拡大の余地があるということで、成長意欲の表れと言うこともできるだろう。
株価下落の起点となった「ライブドアショックの影響」については、12社が「ない」と回答。「企業の選別が行われているだけ」「ライブドアショックよりサブプライムローン問題のほうが大きい」などのコメントが寄せられた。
個々の企業の現状をもう少し詳しく知るため、新興市場を代表する企業に取材した。ライブドアと同時期に成長したIT企業であるサイバーエージェント、オンラインゲームという新分野を扱うガンホー・オンライン・エンターテイメント、ライブドアショックの影響なく急成長しているアパマンショップホールディングスの3社だ。そして最後に、新興市場に長年関わってきたファンドマネージャーの見通しも聞いた。



