プライベートバンクなど、富裕層向けの金融サービスが活発になっている。
こうした中、世界最大級の金融グループHSBCも、日本で“マス富裕層”を対象とした
「HSBC PREMIER(プレミア)」のサービスを2008年1月から開始する。

世界83の国と地域で1万を超える拠点を持つ有数の金融グループ、HSBC。意外と知られていないが、日本でも140年以上の歴史がある。
そのHSBCが富裕層を対象に提供するのが、HSBCプレミアだ。「リレーションシップマネジャー」と呼ばれる専任の担当者が、資産運用の相談に乗ったり、金融商品を提供したりする。海外ではすでに2000年からサービスを開始。35の国と地域に、250のHSBCプレミアセンターを設置。200万人以上にサービスを提供している。日本でこのサービスに申し込むと、当然世界どの国・地域のセンターに行っても、同じサービスが受けられる。
HSBCプレミアが対象とするのは、金融資産を1000万円以上保有する「マス富裕層」。同社の推計では、首都圏と関西圏だけでも約630万人いるという。
07年9月のサービス参入発表では、ロンドンの本社からスティーブン・グリーン会長らも駆け付けて会見に臨んだ。それだけ力が入っているのだ。
サービス開始は08年1月から。東京・広尾でHSBCプレミアセンターをオープンすることを発表しているほか、金融庁の認可がおり次第、赤坂でも営業を開始する予定。首都圏、関西圏からサービスを拡大する。
スーツケースとペンだけを手に
――サービス開始を目前に控えた今の心境は?
海外ではすでに00年に開始していたプレミアのサービスを、このほどようやく、日本でも提供できるようになりました。待ち遠しい気持ちでいっぱいです。とても高ぶっています。
日本での展開がこの時期になった背景には、バブル崩壊後、日本のマーケットを見通すのが難しい状況だったことがあります。状況を理解し、把握するのに時間がかかったのです。
HSBCには、「性急な判断をしない」という特徴があります。長期で見た正しい判断を下す。それこそが、私たちが大事にしていることでもあるのです。
実は03年の終わりごろには、チームを日本に派遣し、市場調査を始めていました。他社のサービス、リテールバンキングやダイレクトバンキングの状況。人口動態の変化――。綿密な調査の結果をもとに、アジア地域本部(香港)がおよそ2年かけて戦略を立て、06年にようやく本社(ロンドン)から、グループとしてのGOサインが出たのです。
そして06年の夏、私は1人、スーツケースとペンだけを持って(笑)、日本に降り立ちました。つまり1人から始めたのです。優秀な人材やHSBCプレミアセンターにふさわしい場所を探したり、ITシステムを構築し、法的な枠組みに準拠すべく体制を整備したり。もちろん、香港やロンドンから手厚い支援を受けましたが、06年夏にようやくサービス開始に向けて本格的に動き出したといえるでしょう。
――1人で始められて、今はどのくらいの規模なのですか?
HSBCプレミアにかかわるスタッフは、現状でおよそ130人います。1人から始めて130人になるまでは、たしかにタフな過程でしたが、実に優秀な人材が応募してくれました。それは日本の金融業界で、「HSBC」がブランドとして足りえているからではないでしょうか。
スタッフの採用で決め手となったのは、「HSBCプレミアが他にはない、ユニークなサービスになる」ということに対して、確信を持っているかどうかということでした。
採用した130人には、優れた人材、才能ある人材しかいません。しかも5年、10年程度の“腰掛け”のつもりではなく、じっくり腰を据えて業務に取り組んでくれる人たちです。
アジア地域本部からも、専門家を長期派遣してもらい、準備を進めてきました。システムづくり、プロジェクトマネジメント、マーケティング、コンプライアンス。こうした分野について、HSBCのノウハウを注ぎ込んだのです。海外からの専門家たちが教育することで、日本で採用したスタッフも、「HSBCスタンダード」を身につけることができました。
“PREMIER Anywhere”を実現
――日本のマーケットをどのようにとらえていますか。
まず、日本のリテールマーケットは、たしかに規模は大きいですが、成熟しているとは言い難いと思います。
たとえば銀行に行くと、“つくり”はどこも同じです。大きなカウンターがあって、その後ろに大きなオフィススペースがあって、脇にATMコーナーがあって……。
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