本質を捉えぬ解決策は役人が「焼け太る」だけ
藤田東吾(イーホームズ社長)インタビュー

耐震強度偽装事件を告発したイーホームズの藤田東吾社長。
国土交通省の役人が責任逃れをして、事件の本質を
隠したと主張する。そして、役人の「焼け太り」を批判した。
法改正は国交省の
失敗を隠すためのもの
――建築基準法の改正を、どのように考えますか。
耐震強度偽装事件を再び起こさないため改正を行ったと、国土交通省は言っています。しかし、問題の本質を見ていないので、同じ問題が起こりかねません。建設業界の人々が国交省の政策の失敗により苦しみ、今後も困ることを考えると、憤りを覚えます。
――「問題の本質」とは何ですか。
マンション建設などでは着工前に強度を計測した「構造計算書」が必要です。それを計算する「大臣認定プログラム」のソフトがありました。国交省と、その外郭団体である日本建築センターが、このプログラムを、数値が偽装できる形で認定したことが問題の本質です。数値を改ざんして計算結果が出せたのです。偽装を行った建築士たちは、それを利用しました。――それでは、法改正で問題は解決しないのでしょうか。
しないでしょうね。国交省は 本質を改善せず、二重三重の不要なチェックで偽装が防げるとしています。そうではなく、電子申請に移行して、検算プログラムを用意するなど、プログラムを改善すれば、偽装は簡単に防げます。「指定機関が偽装を見過ごした」と、役人はヒステリックに世論をあおり、不要な法改正をしたのです。
現場を知らない役人が
法律を作ってしまう
――改正法自体の直すべき点は、どこにあるのでしょうか。
建物の着工ができない現実を考えれば、過剰な規制が明らかに加えられています。さらに、申請書類を提出した後の設計変更が、以前は柔軟に行えたのに、現在は難しくなりました。現実の建築作業では頻繁に設計を変更する必要が生じます。だから「赤ん坊の人生を生まれたときに決めてしまう」ような、おかしな規制です。また、審査方法をしっかり整備すれば、別の審査機関によるダブルチェックもいりません。
――専門家から見るとおかしな法律が、なぜできるのでしょうか。
耐震強度偽装が発覚した後で、私は国交省の役人に、事件の説明や解決策の提案を繰り返しました。彼らは建設現場やビジネスの実態を知りません。「事務」しかわからないのです。そのため、着工が遅れると建築業者が経営でどれだけ苦しむか、想像できないのです。しかも、偽装を黙認しろと示唆するような態度も見せました。そういう人々が中心になり、机の上で、手続き面に焦点を当てた法律の改正をしました。おかしくなるのも当然です。
――「事件はまだ終わっていない」と、訴え続けていますね。
発覚当初から、私は2つのことを主張しました。ひとつは、「すべての住宅を検査する方法を考えるべきだ。人の命がかかっているのだから」。もうひとつは、「耐震偽装された物件に住む人を救済してほしい」ということです。しかし、役人は反応しません。
ホテルチェーンの「アパグループ」の物件が耐震偽装された可能性が強いと、私は指摘しましたが、訴えから1年経ち、今年1月に国交省はようやく認めたのです。これは氷山の一角にすぎません。
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