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「着飾った外交」はもう終わり
衛藤征士郎(衆議院議員 自由民主党)

「孤高の人」とされる福田康夫首相の数少ない“側近”の一人が衛藤征士郎衆議院議員だ。
「着飾る」ような派手さはないものの、国民生活に目配りをする穏健な外交を予想する。
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公平で私欲のなさを
感じさせる人

近くで見ると、福田首相はどのような人物なのだろう。
「則天去私」という、夏目漱石が晩年の座右の銘にした言葉がありますね。福田さんを見ると、それを思い出すのです。私の周囲の政治家で、福田さんほど公平で私欲がなく、見識の高い人物はいません。国民の生活を第一にして、大きくは国際社会の全体の公益や日本の国益、小さくは市町村の活動にまで目配りのできる大局観と細やかさを共に持つ人です。
 私の政治信条は、地域社会などの「まとまり」である縦軸、そして国民生活軸というべき「生活の豊かさ」という横軸、これら二つの軸を、公平さと公正さに基づいて発展させること。これは福田さんの考えと、とても似ています。
 福田さんは「孤高」と言われますが、「鷙鳥は群れず」(意:鷲や鷹のような強い鳥は独りでいる)ということなのでしょう。他人のおもねりを排する態度は近くで見るとさわやかですが、本当の姿を知らない人には、とっつきにくさを感じさせるかもしれません。会話は楽しく堅苦しくない雰囲気なのですが……。福田赳夫元首相のご子息であるため、畏怖する人もいるのでしょう。
福田首相は安倍前首相と北朝鮮問題をめぐり対立したとされる。
 福田さんは相手を敵視するような感情は持たない人です。9月12日の安倍前首相の辞任表明会見には、福田さんは「忍びがたい」という思いを持っていました。福田さんは安倍政権がピンチに陥っても、決して足を引っ張ることはしなかった。「日本と自民党のために挙党体制で安倍さんを支えよう」と言っていました。
 だからこの言葉を言質に、総裁選に出馬するかどうかを熟慮する福田さんに「日本のため、国民のためと常に言っていたではないですか、出番ですよ」と、私は背中を無理に押したわけです。就任会見で「背水の陣内閣」と述べたように、厳しい状況になることはわかっていた。けれども、福田さんは逃げずに責任を引き受けた。個人的には、うれしいし日本のためになると思いますが、福田さんが巨大な責任を背負ったことを心配しています。


根源を考える
堅実な外交に期待

そうした人柄の福田首相は、どのような外交を行うのか。
 外交政策では堅実な政策が打ち出されるでしょう。福田さんは問題の解決を、その根源から発想する人ですから、決断は浮つかず、しっかりとしたものであるはずです。その政策は、戦後の対外関係の積み重ねの上に展開されるでしょう。日米の同盟・経済関係の緊密化、国連中心主義、そしてアジアへの善隣外交というものです。常識的で当たり前ですが、そこで生まれる安定こそが、日本と国民全体にもっとも利益が大きい。奇策が繰り返される外交は危ういものです。
 熟慮した判断がなされた例をあげましょう。戦没者の慰霊と靖国神社問題について、福田さんは官房長官のときに無宗教の戦没者国立追悼施設の建設の検討をはじめました。これに対して「中国に気兼ねした」などと批判されましたが、そうではないのです。
 福田さんには、国のために戦死した方を冒とくする気持ちはまったくありません。しかし、靖国神社は東京裁判でA級戦犯とされた人々を合祀しています。福田さんは戦後史をさかのぼり、問題を考えていました。日本は、サンフランシスコ講和条約で東京裁判を受け入れ、太平洋戦争への深い反省と謝罪の上にアジア外交を積み重ねてきました。こうした深いところから戦没者慰霊の問題の解決策を考えたのです。


「たかが」補給中断で
日米同盟は壊れない

衛藤議員は外務副大臣など、党と内閣で、外交関係のさまざまな経歴を持つ。仕事で接した福田首相の態度に感銘を受けたという。
 官房長官時代でも議員外交でも、外国からのお客さまを、その国の大小にかかわらず、福田さんはすべて大切にもてなした。そして「互恵」という関係を常に考え、民間や若者の交流に目を配る、視野の広さを持った提案をしました。そのため、外国の方からの信頼感はとても高く、慕われました。
 外交に影響を与えるブレーンは特に見当たりませんね。どんな問題でも、丁寧に勉強して自分の結論を持っていますから。ただ、寺島実郎さん(日本総合研究所会長)の思想には共感していました。歴史への洞察、建設的な外交政策への提言、そしてグローバルな視点を持った著述活動をしている方で、私も尊敬しています。
福田首相の父親である福田赳夫元首相は、東南アジア外交の原則を1977年に「福田ドクトリン」として提唱。「軍事大国とならない」などの平和協調路線3原則を東南アジア外交の柱とするもので、国際的な評価を受け、その後の日本外交の基軸になった。
 福田さんはお父さんの偉大さがプレッシャーになることもなく、自然に尊敬の念を向けています。「福田ドクトリン」は意識なさっているでしょうね。福田さんと話すと「漢字文化圏」への思い入れが強いようです。中国、朝鮮半島、台湾、ベトナム、シンガポール、そして日本。全人類の4分の1を占め、儒教や漢字など共通の文化基盤を持つ国への親近感、そして関係強化への使命感があります。
 議員外交では、一昔前は中国と関係を持つ議員が、台湾との関係を絶つなどの配慮をしました。台湾の法的地位のとらえ方で微妙な問題があったためです。けれども、福田さんは中台双方の政治家との交流を続けています。漢字文化圏だけではありません。石油ビジネスにかかわった経験からか、イスラム諸国の人々とも交流を持ち、信頼されています。


続きはFJ1月号で


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