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リーダーの“本気”が生むチームの力
中田久美(元全日本女子バレーボール代表)インタビュー

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「何としてでも世界で勝つ」という妥協しない“本気”で、チームのモチベーションを上げた。
ロサンゼルス五輪で銅メダルを獲得するなど全日本女子バレーボールを引っ張った中田久美。
そのリーダーシップの取り方、組織での人の育て方とは?

15歳の若さで全日本入り
ロス五輪銅メダルの立役者

 中田久美の才能が見出されたのは、1980年のこと。後に全日本のキャプテンを務める中田だが、当時はまだ15歳。早くからその可能性に気づいたのは、全日本女子の山田重雄監督だった。68年のメキシコ五輪で銀メダル、76年のモントリオール五輪で金メダルに導いた名将だ。
 その名将が、84年のロサンゼルス五輪に向けて編成した、中学生を対象としたバレーボールチーム「ロサンゼルスエンジェルス」に、中田は入塾する。そこでセッターとしての才能を見込まれ、15歳で全日本入り。天賦の才を開花させる。それまでの全日本では見られなかったスピード感あふれるトス回しで、ロサンゼルス五輪に出場。世界的なセンタープレイヤーで、77年ワールドカップ優勝を果たした江上(現姓・丸山)由美らとともに活躍し、銅メダル獲得に貢献した。当時、19歳だった。
 しかし、その2年後、選手として絶頂期にあった21歳の中田を悲劇が襲う。練習中に右ヒザのじん帯を断裂。再起不能かともいわれた大ケガを負う。
 だが、中田はあきらめなかった。過酷なリハビリを乗り越え、執念の復帰を遂げる。88年のソウル五輪では、大林素子、吉原知子らを擁するチームを率いて、コートに立った。結果は4位だった。
 そして92年のバルセロナ五輪にも3大会連続となる出場を果たし、5位入賞を果たす。
 13年間にわたり、全日本女子バレーボールチームの第一線で活躍した後、現役を引退した。

勝つための妥協しない姿勢

 山田監督、江上由美という名指導者、名キャプテンを間近で見てきた。自身も日の丸を背負い、3度も五輪出場を果たしている。中田にとって理想のリーダー像とはどういったものだろうか?


 私は「ついてこい!」とチームを引っ張るタイプのキャプテンでした。ゲームのときは特にそう。「やられたっていいじゃないか、私が何とかしてやる!」。そんな感じだったと思います。実は不安だったことも多いのですが(笑)。
 全日本に入ったころは、江上由美さんがキャプテンでした。江上さんは、クレバーで周囲の状況をよく読める選手だった。キャプテンとしては、絶対的な存在感があって、チームの雰囲気を作ることができるリーダーでした。チーム最年少の私が気軽に話しかけられるような存在ではありませんでした。弱気なところは一度も見たことがない。同じコートに入りながら、江上さんの行動を見て、「私もやらなきゃ!」と自分自身を奮い立たせていました。
 いざ自分がキャプテンになったとき、最初のころは江上さんと同じような絶対的なリーダーを目指しました。でも、他の選手との溝ができただけでした。
 積極的にコミュニケーションを取るように自分流のリーダーシップに切り替えたところ、チームメイト同士がうまくかみ合った。ほかの誰かが成功したからといって、そのリーダー像を真似しようとしてもダメなのでしょうね。自らが経験したことを活かして、自分の要素を入れることが大事だと思う。
 リーダーにとって大切なのは、周りの選手たちに、「いいことはいい」「悪いことは悪い」と言ってあげること。組織で動いているので、「勝つために妥協しない姿勢」をチーム全体に伝えることが必要だと思う。選手に好かれるためにリーダーになったわけではないですからね。

リーダーの熱い信念が組織を動かす

 リーダーが持っておくべき要素について、どう思っているのだろうか。

「情熱」を持ってやれるかどうかでしょう。情熱がないと集団全体に勢いが出ない。トップに立つ人間が「本気」じゃないと、誰もついてこない。その本気度をみんなに伝えられる人がリーダーにふさわしい人だと思っています。それをチーム全体に植え付けるには、監督もそれ以上の情熱を持っていなければいけないでしょう。
 ただ単に「オリンピックに行ければいい」と思っている指導者と「何としてでも世界を相手に勝つ!」と思っている指導者では、普段の練習の質から違ってくる。
リーダーは「軸」がブレてはいけない。全日本チームなら「世界で勝つ!」という確固たる軸と熱い信念を持っていなければ、選手は誰もついてきません。
 キャプテン、リーダーというのは、「人を引っ張る」とか「まとめる」ということよりも、「黙っていてもついてきてくれるという雰囲気を作る」ことが大事だと思います。私がキャプテンをやっていたときは、後輩たちに「姿勢で示す」ことを心がけていました。
「負けるのは絶対いやだ」ということを常に下に伝えようとしていました。後輩たちは、私が「練習に望むレベル」や「勝負に対するこだわり」を肌で感じてくれていたと思います。
 それと、勝負どころで精神的に「弱気にならない」こともリーダーとして必要な要素。チームの先頭に立つ人がおとなしくてはダメでしょう。
 ほかにも、「この人なら何かをやってくれる」という期待感を周囲に持たせることができるのがリーダーだと思う。チームに勢いが出るには、「この人、何をしでかすかわからない」という意外性や魅力も持っていなくてはならない。ほかの選手の犠牲になってでも、「私はやるんだ!」ということを周囲に見せられる人には、みんながついていくのではないでしょうか・・・

続きはFJ1月号で



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